管理戸数5000戸超のメイクスプラス(東京都渋谷区)は不動産開発事業をグループで行うメイクス(同)のグループ子会社だ。管理物件の多くはグループで開発した投資用不動産だが、近年は他社開発物件の管理受託に力を入れる。さらには賃料収入以外の収益を物件から得る提案に取り組み、オーナーの将来の修繕に備える。
リーシング力強み32戸、1カ月で満室
―開発会社のグループとして管理事業をメインに展開しています。
2012年に、投資用不動産の開発を行うメイクスの開発物件を管理する会社として発足しました。その後、22年に建物管理を行うグループ内の別会社を吸収合併する形で、現在のメイクスプラスの形になりました。当社では、グループ内で開発した物件をメインに、1都3県(東京、神奈川、埼玉、千葉)と愛知県名古屋市、福岡市で5043戸(24年9月期)を管理しています。
―業績も順調なようですね。
24年9月期の売り上げは29億4700万円。粗利が5億4300万円です。賃貸管理事業の売り上げがそのうちの77.9%、建物管理事業が22.1%となっています。直近4年で売り上げは31%伸長しました。
―継続して売り上げを伸ばしているのですね。
グループで開発事業を行っており、その物件の管理受託ができているという点が大きいです。しかし、グループに依存しないよう、20年からは自社開発物件以外の管理受託営業に力を入れてきました。今では管理物件の約2割がグループ外の開発物件です。24年9月期に、管理戸数は前期比195戸純増しましたが、グループ開発物件の中には売却により管理しなかったものもあり、160戸がグループ外の開発物件です。4年で1789戸管理を伸ばしました。
―他社開発物件の管理を受託するために苦労したのでは。
従業員43人のうち、管理受託営業スタッフは9人います。リーシング力を強みに受託してきました。新規受託時には入居率80%だった中古物件を95%に改善した事例もあります。グループ外の開発物件の稼働率は全体で平均94.87%にまで高めています。その結果、法人オーナーの口コミが広がり、新規受託につながっています。
―リーシングにおける御社の強みとは。
物件の条件をいかに仲介会社の目に付くものにするかに力を入れています。家賃設定やフリーレントにするなど、そのエリアに合った条件を付けられるようオーナーに提案しています。
―基本は他社仲介ということでしょうか。
はい、賃貸仲介部門はありません。提携する仲介会社が、1都3県に433社、西日本には184社あります。600社以上の提携事業者へ、月に1回は顔を出して物件提案を行うことで、空室の解消につなげています。入居率は1都3県で97%、西日本エリアで95%です。「どんな無理難題でも言ってみてください」と営業をかけ、実際に難しい要望に対応することも多いです。
―どういった要望があるのでしょうか。
例えば「初期費用0円プランをつくってもらえないか」「1月入居限定の条件が付いている物件だが3月の入居は可能か」といった相談を受けることがあります。厳しい要望も多いですが、折り合いをつけてなるべく受け入れています。商圏には競合物件も多いですが、そうしてつくり上げた関係性が、最終的には、物件を部屋探しの顧客へ紹介してくれることにつながります。新型コロナウイルス下の引っ越し控えが多かった時期に、32戸の新築物件を1カ月で満室にしたこともあります。