マルユウハウジー、沖縄・浦添市で4900戸管理

【企業研究vol.279】マルユウハウジー

インタビュー|2025年02月27日

マルユウハウジー 沖縄県 當眞 嗣史 社長(43)

 グループ建築の物件を受託し、管理を伸長するマルユウハウジー(沖縄県浦添市)。県内人口4位の都市・浦添市で4900戸を管理し、存在感を放つ。2代目の當眞嗣史社長は、人材の定着・育成に力を注ぐ。

「働き続けたい」職場づくり注力

商圏、人口第4都市 総合不動産力強み

―浦添市の地場大手不動産会社となった御社の、成長の軌跡を教えてください。

 当社のスタートは、私の父が1982年に創業した設計事務所です。狭小地や傾斜地、段差のある土地を安く仕入れ、アイデアと技術で土地の課題を克服することを得意としていました。当時商圏内では珍しい、1Kの間取りで10階建て、平均30戸の賃貸住宅商品を供給。差別化を図ってきました。建築後の管理を受託してきたことで、私が家業に入った2002年ごろは、1000戸弱の管理戸数がありました。

―管理事業に力を入れたのはいつからですか。

 12年ごろに代替わりし、私が社長になった時に、管理事業をマルユウハウジーとして分社化しました。その後順次、設計・建築、ガス供給などの会社を設立し、グループ会社として運営しています。24年9月期のグループ売り上げは22億9800万円。内訳は、賃貸管理をメイン事業とするマルユウハウジーが8億2600万円、設計・建築を行うトーマスアーキテクトが8億1300万円、ガス会社のマルユウエナジーが6億5000万円、そのほか900万円です。当社単体の売り上げ推移は、23年9月期比で1億6000万円増加しました。自社保有物件の家賃収入を主力に、賃貸管理、マンスリー・ホテルの運営、売買・賃貸仲介を展開しています。

―自社保有物件が多いのが特徴的です。

 管理戸数4900戸のうち、約4割を占める2000戸が自社保有です。管理戸数の推移は、15年以降の10年間で1660戸増加しました。伸長の要因として大きかったのは、マイナス金利でした。金融機関からの借り入れがしやすく、自社保有物件として建築し、その後の管理で棟数を拡大するためのチャレンジができました。マイナス金利政策が適用されていた16〜24年までに、管理戸数のうち自社保有物件は1230戸増えました。受託経路の9割がグループによる建築ですが、管理戸数の増加が知名度の向上にもつながり、オーナーからの建築・管理委託が増えています。受託オーナーの属性は、地主が7割程度です。

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店休日設け研修 人材教育で受託増

―賃貸住宅の建築費が高騰しています。新築に頼らない、管理拡大策は。

 25年度は、人材育成による管理体制の強化を図ります。人材の成長が、既存オーナーからの信頼につながり、他社への移管の抑止と追加受託につながると考えます。

―人材育成は、どのような取り組みを行っていますか。

 先行して、24年4月からは店休日を月1日設け、全従業員41人を対象とした社内研修を実施しています。本社を会場とし、南部・中部エリアの店舗スタッフも集合します。従業員からアンケートを取り、学びたいテーマを選定しています。これまでは、宅地建物取引業法に関わる裁判事例や税制度などがありました。講師は、当社の顧問弁護士や税理士にお願いする場合もあります。従業員の知識取得のほかに、管理拡大のためには人材が定着することも重要です。社内研修を含む、従業員の満足度向上策を専任で企画する課を、同年4月から立ち上げています。

離職率を大幅減 「わくわく課」効果

―従業員の満足度向上を図る専任の課とは。

 「わくわく課」と呼び、外部からスカウトした専任担当者を1人配置しています。業務内容は、社内向けイベント・研修の企画・運営と、同課の収益源の確保を目的とした新規事業の立案・運営です。新たに移動洗車サービスを企画し、すでに事業化に向けて動き出しています。

わくわく課の企画イベント 納会の様子

わくわく課が企画した社内イベントの例。サマーナイトラン(上)や24年の年末には納会を実施した

⸺ わくわく課の設立背景は。

 きっかけは、離職率の高さでした。人材採用も厳しい中で、既存の従業員をいかに離職させないかを考えた際に、まずは仕事を楽しんでもらうことに行きつきました。働き続けたくなる職場をつくっていきます。わくわく課設立後は、年末に実施した社内の納会でうどんを振る舞ったり、地域のマラソン大会に参加したりと、従業員同士が交流できるレクリエーションを増やしてきました。同課設立後の1年間の離職率は、13年以降の年度別で最も高かった数値より30ポイント以上減少。24年9月期は、3年以内 の離職率が6.7%と10年ぶりに1桁台に改善できました。

―経営において、當眞社長が最も重視していることはなんですか。

 人の成長です。管理戸数の拡大においても、必要な知識や経験を身に付けた人材が対応を行うことで、オーナーからの信頼を獲得でき、受託戸数はおのずと増えてくるでしょう。30年までに目指すのは管理戸数6000戸。それに伴う中期的な売り上げ目標は、マルユウハウジー単体で10億円です。25年9月期の売り上げは、8億6000万円の着地を見込んでいます。

会社概要

所在地:沖縄県浦添市城間3丁目3番10
資本金:1000万円
従業員数:41人(グループ57人)
拠点数:3拠点
事業内容:賃貸経営、賃貸管理、マンスリー・ホテル運営、売買・賃貸仲介など

社長プロフィール

1981年、沖縄県浦添市生まれ。2002年に、マルユウハウジーの前身企業マルユウ宅建に入社するが、最初に任せられたのはグループ会社のラーメン店だった。その後、マルユウ宅建で不動産業務全般を担当し、12年にマルユウハウジーを設立。好きな言葉は、「銀鱗躍動(ぎんりんやくどう)」。

(2025年2月24日20面に掲載)

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