新型コロナウイルス下を経て、順調に回復したインバウンド(訪日外国人)需要。インバウンドに特化した「アパートメントホテル」の開発から運営までを手がけるのが、カソク(東京都新宿区)だ。精緻なウェブ分析力とオペレーション力を武器に、事業の拡大が加速する新井恵介社長に、同社の事業展開について話を聞いた。
大学時代に起業 ホテル運営へ挑戦
―――もともとは英語関連の事業を行うために起業したそうですね。
大学1年生の時に英語塾を開業し、英語関連のウェブサービスをつくって起業したのが始まりです。その事業を売却した資金を元手に、2013年に宿泊事業を始め、15年に当社を設立しました。最初はゲストハウスや簡易宿泊所、ウイークリーマンションやマンスリーマンションを運営していたのですが、18年の旅館業法の改正を機に、ホテル事業へ完全に転換しました。
――18年の事業転換後、規模を拡大しています。
ハウスメーカーと共同で地主へ土地活用の提案をし、サブリース後に借主として運営、デベロッパーとは共同開発し投資家への販売も行います。24年は毎月2棟、年間24棟で、年間500億円のアセットを開発しました。25年は1000億円を目標に取り組んでいる状況です。現在、東京都や大阪府を中心に全国で47施設を運営し、年間売り上げは、26年に100億円、28年には300億円を見込んでいます。
――アパートメントホテルという形態にこだわった理由は。
インバウンド需要では、家族や友人同士といったグループでの長期滞在旅行が主流です。今でこそ少しずつ、それに対応する宿泊施設ができつありますが、事業開始当時はほとんどありませんでした。私自身が学生時代、ニュージーランドに留学していたこともあり、外国人のバカンスの需要について理解もあります。そこでアパートメントホテルというコンセプトが生まれました。
――英語塾からのスタートにも、現在の事業にも、留学経験が大きく生かされているのですね。
私だけでなく、当社役員は留学など何らかの形で海外経験や外国人と接点があった人間が多いです。経験に加えデータから見ても、インバウンドの約5割が1週間以上滞在しており、多くが4人以上のグループとなっています。そのため従来の日本のホテルでは、1組で2室取らなければならなくなってしまいます。部屋の設備も長期滞在には不向きでした。
――長期滞在用にどのような設備を整えましたか。
キッチンや洗濯機などを備えており、キッチンの使用率は65%を超えています。従来と異なる設備投資は必要ですが、中期滞在者は滞在中の清掃を求める宿泊客が少ないため、清掃費(人件費)とリネン代が一般のビジネスホテルの5〜6割ほどに抑えられます。またDX(デジタルトランスフォーメーション)やAI(人工知能)活用による省人化で、チェックイン時などのフロントスタッフの人件費を抑制することができています。




