小田急バス/ブルースタジオ、バス終点の職住一体型賃貸【話題のスポット】

小田急バス,ブルースタジオ

建築|2025年11月21日

本格的に店舗で商売をする、あきないタイプの住戸の外観(撮 影:Kenya Chiba)

 小田急バス(東京都調布市)は、保有する東京都調布市・深大寺周辺エリアのバスターミナル隣接地に職住一体型の集合賃貸住宅を建築した。物件名は「meedo(みいど)」。自分の好きなことで店舗を構えてみたいという人々のニーズをつかむ。個性ある店舗の出店やシェアモビリティーも誘致。地域コミュニティーのハブとして、周辺エリアの活性化と魅力向上を狙う。

シェアキッチン、稼働率60%超

商売・趣味を土間で 店舗兼用は満室

 小田急バスは、遊休地にコンセプトを持った物件を建築し、入居者や地域住民の集まる場づくりを目指す。リノベーション企画などを手がけるブルースタジオ(東京都中央区)に企画・設計を依頼。「住まいと商い・仕事が共存する〝なりわい暮らし〞」を物件のコンセプトに設定した。meedoの敷地内には、13戸の木造2階建て賃貸住宅とシェアキッチン、井戸を中心とした広場がある。賃貸住宅の半数以上にあたる7戸は店舗兼用住宅だ。

バス停から見たmeedoの外観(撮影:Kenya Chiba)

バス停から見たmeedoの外観(撮影:Kenya Chiba)

 賃貸住宅には4つのタイプがある。店舗兼用住宅が「あきないタイプ」「なりわいタイプ」。店舗は不可だがSOHO利用が可能な住宅が「アトリエ住居タイプ」「住居専用タイプ」だ。すべてのタイプに土間があり、店舗や仕事用、趣味用と入居者のニーズに合わせて使うことができる。

 あきないタイプは、本格的に店舗で商売をしたいという人向けの住宅だ。店舗利用可能部分が18.63〜25.15㎡と広く、商品を置くだけでなく客席のスペースを確保することができる。一方なりわいタイプは、小規模な店を始めてみたいという人が入居者ターゲットだ。店舗利用可能部分が7.24〜8.69㎡と少し小さくなる。賃料は20万2400円〜(税込み)。アトリエ住居タイプと住居専用タイプは、土間を仕事や趣味のスペースとして使ってもらう想定だ。

 最寄り駅であるJR中央線三鷹駅からはバスで28分と距離があるが、竣工までに半数近くに申し込みがあったという。現在は11戸が入居中だ。あきないタイプ、なりわいタイプには、カレー店と弁当・総菜店、文房具店、整体院が入っている。 小田急バスがブルースタジオの企画で職住一体型の賃貸住宅を建築するのは東京都武蔵野市に建てた「hocco(ホッコ)」に続く2回目だ。小田急バスの下村友明取締役は「hoccoでは小規模な店舗利用可能部分を設けた住宅を用意したが『もっと本格的に商売をしたい』という声をもらった。それを生かしてつくったあきないタイプから埋まっていく状況で、店舗を開きたいというニーズがあることを実感した」と話す。

meedo

meedoの名称は「水(み)」「井戸(いど)」からきている。地域の旧地名である「絵堂=edo」の文字も入れた

1日から出店可能 菓子、料理を提供

 入居者だけでなく周辺住民が集まる場をつくることを目指し、シェアキッチンも設置する。運営はブルースタジオが行う。利用者との接点を創出し、シェアキッチンのリピート利用や未来の入居につなげることも狙う。

 同キッチンには調理スペースと客席・展示に使えるスペースがあり、1日単位のレンタルが可能。飲食店営業許可・菓子製造業許可を取得しているため、飲食事業の試し出店をすることができる。作品の展示やワークショップに利用することも可能だ。

 焼き菓子店やバルト3国の料理店、韓国風かき氷店などさまざまな飲食店の出店実績がある。10月の稼働率は60%。リピート利用する人も多く、すでに11・12月分も同程度の利用予約が入っている状態だという。

韓国風かき氷

8月には、京王電鉄京王線調布駅で韓国料理店を営む人が韓国風かき氷店を出店していた。近隣に住む人からの利用に関する問い合わせが多いという

湧水と生きた土地 井戸・水路で再現

 meedoでは、その土地の歴史が物件のオリジナリティーにつながっている。敷地中央部には、井戸を中心とした広場がある。広場の脇には水路があり、メダカやアメンボが生息している。

 井戸や水路は、深大寺周辺エリアの歴史を踏まえて作ったものだ。深大寺周辺エリアでは古くから湧き水が豊富で、住民はそれを生活用水・農業用水として活用してきたという。

 ブルースタジオの広報/PR担当の和田治子氏は「企画時には、人口構成や近隣施設はもちろん、その土地の歴史や文化についてもリサーチする。この場所だから意味がある物件とすることが、物件の魅力につながる」と話す。

 井戸は災害時の生活用水確保にも役立つ。広場には、災害時にかまどとして使えるベンチや照明用の蓄電池も設置し、災害時に地域の人が避難できるコミュニティーとなることも目指す。

駅への交通を確保 周辺住民の利用も

 駅からの遠さは、交通手段の提供でカバーする。入居者や地域の人が使えるモビリティーを準備している。小田急バスの晃華学園東「meedo」停留所が敷地内にあるほか、シェアモビリティの「HELLO CYCLING(ハローサイクリング)」や「LUUP(ループ)」、シェアカーの「TimesCAR(タイムズカー)」を設置。入居者には世帯ごとにHELLO CYCLINGの月3000円分の利用権を付与する。

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道路に面した場所に、HELLO CYCLINGやLUUPを設置している

 バスはもちろん、シェアモビリティーも入居者以外の利用が可能だ。周辺の住民の交通利便性向上にも寄与することを目指す。

 下村取締役は「バス利用者は沿線の住民がほとんどとなっている。その人たちに地域に住み続けてもらうために、交通手段の確保は重要だ。さらにmeedoには魅力的な店舗がそろい始めているため、meedoを目的地としたバスの利用の増加も期待している」と話す。

(中村)
(2025年11月17日20面に掲載)

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