空きスペースの時間貸しサービスを提供するRebase(リベース:東京都渋谷区)が、自治体と連携して空き家問題の解決に取り組んでいる。同社が運営するレンタルスペースのマッチングプラットフォーム「instabase(インスタベース)」に、埼玉県坂戸市と提携し、同市の空き家2軒を掲載。改装費用の負担なく物件を収益化する。物件の利用ニーズを探ることで、空き家活用の第一歩とする狙いだ。
自治体と提携、レンタル実績も
所有者に意識調査 市がリスト提供
Rebaseは、空き家をレンタルスペースとして掲載することで、空き家の利活用を促す取り組みを行う。instabaseは、スペースを貸したい人と使いたい人をマッチングするサービスだ。同サービスのサイトに掲載者がスペースの情報を掲載し、利用者が予約することができる仕組みとなっている。掲載は無料で、利用が発生した際に利用者が掲載者に支払う料金からRebaseが手数料を受け取る形で運営する。レンタルスペースの掲載数は11月12日時点で4万3000件を超える。
Rebaseは、空き家活用のために行政と連携する。2024年10月からは、地域デザインラボさいたま(さいたま市)と埼玉県坂戸市と提携。空き家利活用モデル構築のための実証実験を開始した。
坂戸市との提携で最初に行ったのは、空き家所有者向けのアンケート調査だ。同市では空き家が23年10月時点で7330戸と全住戸の14%を占め、全国平均の13.8%、埼玉県の9.3%より割合が高い。
同市が、賃貸・売却などの利活用が決まっていない空き家の所有者600人のリストを用意。Rebaseは、空き家の活用意識を調査するアンケートを郵送し、71人から回答を得た。13人が空き家の時間貸しに興味があると回答し、うち7人は個別相談も希望。Rebaseが実際に面談を行い、2人がinstabaseに物件を掲載するに至った。
築60年の一戸建て 改修せず利用募集
実際に空き家がレンタルスペースとして活用された実績も出ている。東武鉄道東武東上線坂戸駅から徒歩10分の場所に立つ、築60年の戸建て住宅だ。スペース名を「アトリエ線路脇」と名付け、撮影スタジオやギャラリーとしての用途で時間貸しを行っている。レンタル料は1時間880円(税込み)から。
instabase内のアトリエ線路脇の掲載ページ
同物件の所有者は、同じ敷地内の別の建物に住む。母親が住んでいた築60年の一軒家を相続したものの、どう扱っていいかわからずにいたという。
アトリエ線路脇の外観
同物件のinstabaseへの掲載をサポートしたRebaseビジネス部営業チームの清水康一朗マネージャーは「所有者は物件を使うあてはないが、売却することには抵抗感を持っていた。いったんレンタルスペースとして市場に出してみることで、改装費などをかけずに物件の収益化を図れる点を気に入ってもらい、掲載に至った」と話す。
6月に掲載を開始した同物件の利用件数は、11月12日時点で3件だ。改装や設備の導入は行っていないため、レンタルスペース化に費用はほとんどかかっていない。所有者は空き家の隣に住んでいるため、通気や掃除といった管理も自身で行うことができ、管理料もかからない。
Rebase の清水マネージャー(右)と広報・PRの大塚紗瑛氏
借り手の用途、多様 行政と連携促進へ
instabaseへの掲載は、所有者が自分で物件を活用することを考えるきっかけにもなった。アトリエ線路脇では7〜9月、9回にわたって、和紙職人である所有者が自らのアイデアで紙すき体験とノート作りのワークショップを実施した。所有者の知人たちの子どもやRebaseの社員の子どもなど32人が参加した。
子どもたちと紙すきを行う様子
instabaseでは、こうしたワークショップや教室の開催場所としての需要も多い。最も多い利用用途は会議やコワーキングなどの「ビジネス」で37%となっているが、ワークショップや教室などの「レッスン・講座」の教室利用も12%を占める。
紙すきワークショップの様子。所有者が自ら講師を務める
清水マネージャーは「レンタルスペースにはさまざまな需要があり、必ずしも駅からの距離などの立地で利用の有無が決まるわけではない。処分や活用に困った空き家の活用方法を考えるためのツールとして、instabaseが役に立てばと思う」と話す。
坂戸市で積み上げた実績を基に、さらに多くの自治体との連携を目指す。11月12日時点で提携しているのは坂戸市と兵庫県神戸市の2自治体だが、その他の自治体とも提携の話を進めているという。
(中村)
(2025年12月8日20面に掲載)




