隠れた原石、見落としていませんか?
春、新卒採用の面接シーズン。繁忙期の合間を縫って面接の時間を捻出されていることと思います。限られた接点で自社で活躍する人材を見極めるのは至難の業です。面接後、こんな会話をしていませんか?
「今日の子、声が小さくて覇気がなかったな。顧客対応なんて無理そうだし、お見送りにしよう」もし、「元気さ」や「ハキハキした態度」を採用の絶対的な基準にしているなら、御社は「真面目で長く定着する原石」を自ら見落としているかもしれません。
■9万人のデータが示す若者のリアル
私が代表を務めるイー・ファルコンは、適性検査eF-1G(エフワンジー)という新卒採用の選考時などで活用する適性検査を提供しています。この春大学を卒業し、就職する2026年3月卒の学生の適性検査データ約9万件を分析すると、現代の若者の明確な特徴が見えてきます。それは「自分を奮い立たせる力」や「外向性」のスコアが全体的に低いことです。面接で、面接官が期待する「体育会系のような元気の良さ」を出せる学生はごく一部に過ぎません。
一方で、彼らは「素直さ」や「協調性」、「誠実性」のスコアが非常に高いという強みを持っています。賃貸管理の現場で、オーナーや入居者と長期的な信頼関係を築くために本当に必要なのは、初対面での「元気の良さ」でしょうか?それとも、相手の要望に耳を傾け、地道に対応できる「誠実さ」でしょうか?
■なぜ「元気な子=優秀」と錯覚するのか?
このズレの原因は、心理学の認知バイアスの一種である「ハロー効果」で説明できます。これは、相手の目立つ特徴(例:声が大きい)に引きずられ、他の要素(例:実務能力やストレス耐性)まで高く評価してしまう脳の錯覚です。
■「感覚」から「データ」のマネジメントへ
面接での見落としを防ぐためには、面接官の「直感」に頼るよりも前に、客観的な「適性検査データ」を挟むことが有効です。例えば、「外向性は低いが、誠実さが非常に高い」というファクトを事前に共有することができれば、面接の目的は「元気かのジャッジ」から「誠実さを自社でどう生かすかを探る対話」へ変わります。
おとなしく見える学生の中に眠る素質を見つけ出し、可能性を引き出す"ポテンシャルディスカバリー"こそが、若手から「選ばれる」企業になる第一歩です。
次回は、「ウチでは条件面で大手には勝てないから...の勘違い」をテーマに、心理学を活用した学生を惹きつけるこつをお伝えします。
<プロフィール>
田中 伸明
イー・ファルコン 代表取締役
2005年関西学院大学経済学部卒業。12年、グロービス経営大学院大学経営研究科経営専攻修了(MBA)。新卒でアフラックに入社、その後グロービスに移り法人営業に従事。12年、i-plug創業メンバーとして取締役就任。22年9月より、100%子会社のイー・ファルコンで現職に。23年、一般社団法人人的資本経営推進協会理事に就任。
(2026年5月18日14面に掲載)





