LDKおよびグループ会社のLDKテックは、ガレージ付き賃貸住宅の企画を主力として成長を続ける。自動車・バイク愛好者に向けて自社でファンづくりをすることで、企画物件は入居率98%と高稼働。大手私鉄系不動産会社との高架下活用プロジェクトも好調だ。
ファンクラブの会員数1000人
販売実績88棟 VC加盟数22店
LDKは鉄骨の構造を生かした建築ブランド「DAYTONA HOUSE×LDK(以下、デイトナハウス)」を展開。同ブランドでは軽量鉄骨のパネル集積という建築システムを採用。個人住宅や店舗、賃貸住宅などが建築可能となっている。
中でもガレージ付きアパート「GLB」が主力商品だ。建築はボランタリーチェーン(VC)加盟店とLDKテックで請け負っている。
加盟店を含めたデイトナハウスブランドの建築棟数は10年間で140棟。そのうち、GLBは61カ所で88棟309戸と約半数を占める。加盟店は地域の工務店が多く加盟店数は22店だ。
事業は、デイトナハウスの企画・デザイン事業、建築VC事業、鉄骨の製造販売事業、建築事業の四つだ。社内の運営体制としては、デイトナハウスの企画・デザインなどの策定と、VCに関する業務、軽量鉄骨の製造・管理・販売をLDKが行っている。そしてLDKテックが自社請負の建築事業を行う。2021年にはLDKテックが「特定建設業」の許可を取得したことで、大規模プロジェクトの受注も可能となった。直近の26年1月期は売上高8億2000万円と前年比で130%。
同社のガレージ付きアパートGLBは入居者の利用目的が多様だ。
40%がセカンドハウスとしての利用、続いて商業利用が35%、25%が居住用として利用されている。
商業利用や事業用としてはパーソナルジム、トリミングサロン、資材置き場兼事務所などに使われているという。
吉川敦行社長は「GLBは鉄骨の美しさを前面に出した内観になっている。商業利用では、入居者側も内装をそのまま活用できるため、イニシャルコストを抑えた出店が可能になる」とその強みについて話す。
特定の層に訴求 男性入居者98%
同社のガレージ付きアパートの特色は、黒く塗装された鉄骨をあえて露出させる意匠性と、モーターライフに寄り添った設計にある。
万人に受けるよりも、特定の層に深く刺さるスペックを追求。1階のガレージ部分は車両の格納だけでなく、作業場としての機能も持たせる。入居者が棚などを自由にカスタマイズできる余地を残している点も、他社物件にはない強みだ。
1階から2階に上がるらせん階段には、恐竜の肋骨をイメージした同社のオリジナル商品が用いられている。これらにより結果として、同社が企画する賃貸物件の入居者は約98%が男性だ。
吉川社長は「ガレージがあればガレージハウスになるが、車との距離感や見え方などは物件によって大きく異なる。当社は創業以来モーターライフをテーマとした住宅を設計してきた。その背景もあり社員は『車好き』ばかり。設計する側の社員にモーターライフへの愛着がないと、エンドユーザーに刺さる商品にはならないと考えている」と語る。
近年は離島やリゾート地など、過酷な自然環境下での建築相談も増えていることから、これに対応するための開発を進める方針だ。
ニーズを「作り出す」顧客は自社のファン
SNSや雑誌連載を通じた積極的な発信により、自社でニーズを創出する戦略を取る。そのためオーナーや入居者獲得を目的とする広告宣伝費を投じた営業を行っていない。
具体的には、「フェイスブック」や「インスタグラム」の投稿、雑誌「所ジョージの世田谷ベース」の連載を通じて、カーライフやガレージアパートでのライフスタイルについて継続的に発信。そこで興味を持った人をLDKのホームページに誘導し、問い合わせにつなげる。新規の入居希望者・オーナーのうち9割以上がSNSや雑誌を見たことがきっかけだ。
鉄骨の構造が見える1階ガレージ
各戸に大きな窓が設けられており、外観にも特徴がある
入居希望者の獲得の面では「GLBファンクラブ」を運営。会員には空室情報や竣工情報などを優先的にメールマガジンで公開している。会員数は約1000人に達しており、新築物件の募集開始とともに早期満室となる流れを形成している。
この仕組みはオーナー提案において強力な武器となっている。特定の趣味層に特化したコミュニティーを持つことが空室リスクの低減につながるためだ。
「土台となるニーズを生み出さなければ、アパートを供給しても空箱を作るだけになる。入居希望者が可視化されていることは、オーナーがGLBを建築する際の後押しになる」
実績の積み上げにより、法人との提携案件も増加している。
特に近鉄不動産との共同事業では、高架下のデッドスペースにガレージアパートを建設する「K・BLOC」プロジェクトを推進し、3カ所23戸で平均入居率99%を達成。さらにこの実績が京成不動産、阪急阪神不動産など他の鉄道関連会社にも波及しており、企画が進んでいるという。
吉川社長は「高架下という特殊な立地条件での高稼働実績があることが、各社の担当者にとって安心感につながっていると感じている」と分析する。
鉄骨製造を内製化 安定供給と質向上
吉川社長は23年に社長に就任した。大学卒業後、ハウスメーカーでの営業・設計経験を経て、03年にLDKに入社。創業者の玉田敦士会長の下で10年間経験を積んだ後、一度独立し、自身の設計事務所で注文住宅やホテルの設計を手がけた経歴を持つ。20年ごろから再びLDKに業務委託として合流し、現在は玉田会長との共同代表制をとる。
吉川社長が注力するのは、売り上げ規模の追求ではなく、利益率の高い経営体質の構築だ。
その中核となるのが1月から開始した鉄骨製造の内製化である。これまでは外部工場へ委託するOEM(相手先ブランドによる生産)だったが、内製化で供給停止リスクを回避し、品質管理の向上とロス削減によるコストダウンを図る。
「売上高という指標での拡大はあまり考えていないが、できる限り利益率の高い体制にしていきたい。他物件との差別化が明確でない物件を建てることがリスクだと考えるオーナーもいる。『ターゲットを絞ったニーズがある』物件が今後生き残ると考えている」
(舘野)
(2026年6月1日20面に掲載)





