入居者対応コールセンターを運営するZENBU(愛知県名古屋市)が、人と話しているように会話できるAIを実稼働させている。5月に、音声会話領域で世界的なAI技術を保有するFlashLabs(フラッシュラボズ:米国)と日本における独占パートナー契約を結び、入電対応を順次AIに変えている。
自然な会話、最新技術を導入
ZENBUは、2025年12月以降、コミュニケーションAIを活用した「AIボイスエージェント」に、電話対応やバックオフィス業務を段階的に代替してきた。これにより、コールセンターが抱える問い合わせの増加と人員不足を補い、入電対応の取りこぼしを減らしている。
5月1日には、コールセンター業務において一気通貫で対応できるAIボイスエージェントの外部販売を開始した。番号選択による対応振り分け(IVR)や、ロボットのような音声を一切使用せず、人間同士の会話とほぼ変わらないフリートークによる応答が可能だ。あらかじめ設計したシナリオをAIに組み込み、電話受付や問い合わせ対応、契約内容の確認、修理の受付、請求書発送手続き、エスカレーション業務の完了まで行う。設定次第で、人による入電対応からあふれた場合のみの使用や、状況に応じて有人対応に切り替える活用もできる。
FlashLabsは米国サンフランシスコで22年に創業した。音声会話AI技術が評価され、グローバル企業からスタートアップまで6万3000社で採用されている。23年には日本法人を設立した。FlashLabsのAIは、問い合わせに対し音声で応答するだけでなく、その後の事務処理を引き受け、業務を完結できる。
ZENBUが担うのは、日本市場向けにFlashLabsの技術を最適化し展開する役割だ。ZENBUは20年に創業し、不動産会社向け業務支援サービスを提供し続けてきた。今後はFlashLabsの技術を活用し、部屋探し、管理業務、バックオフィス、案件管理などAIボイスエージェントで対応できるサービスを拡大する方針だ。
FlashLabsの石一Global CEOは「ZENBUには、賃貸住宅管理業務に対する深い知見がある。またAIを電話対応にとどめず、事務処理まで完結させる明確な方針を併せ持つ。考え方が一致したので、日本の居住用賃貸住宅市場における独占パートナーとして選んだ」と話す。
「業務の95%をAIエージェントに対応させ、5%のコアな部分を人間が担当するイメージだ。建物巡回や清掃など、フィジカルAIにも参入していきたい」(ZENBU松下直史社長)
(2026年7月6日16面に掲載)





