不動産情報サイト大手のLIFULL(ライフル:東京都千代田区)は16日、主力ポータル『LIFULL HOME'S(以下、ホームズ)』の売買用・投資不動産の一部を、ネット通販大手『楽天市場』にも掲載できるようにした。「問い合わせ」ボタンの代わりに「購入予約」ボタンを設置し、成約までの実務工程を簡略化。認知度向上と同時に、当事者間の利便性も引き上げる。先行する収益不動産専門サイト『楽待』『健美家』との差を縮め、収益性の向上につなげたい考えだ。
投資用不動産分野に本腰
LIFULLの本業は、物件検索サイトを介した不動産会社への送客ビジネス。物件の掲載料や反響課金を不動産会社から得て成り立っている。主に賃貸物件、実需向け売買物件、投資向け売買物件の3分野を扱い、ホームズ関連だけで18年9月期は286億円の売上収益を計上している。
今回の『楽天市場』への出店は、3つのうち「投資向け売買物件」のみを対象としている。ホームズ単体が扱う投資用不動産は2万5750件(10月24日時点)。そのうち約100件を『LIFULL HOME'S楽天モール』にも掲載している。
楽天の通販サイトに投資不動産を載せたのは、LIFULLが初めて。4804万人の楽天利用者(19年ニールセンデジタル調べ)の中から、不動産投資への関心を呼び込む狙いがある。売買事業部の岡崎健治氏は「知名度を上げ、反響を増やしたい」と目的を語った。
ホームズは、賃貸物件の領域では『SUUMO』と肩を並べる業界二強のポジションを確立しているものの、投資不動産の掲載件数は『楽待』の約5万7000件や『健美家』の約4万9000件と比べると、倍近い開きがある状況だ。これまで不動産投資イベントなどを継続的に主催するなどしてブランディングを図ってきたが、サイトの成長には、もう一段踏み込んだ施策が必要と判断し、楽天への出店に至ったという。