申請したのは1社のみ
統計データ|2016年08月08日
都市ガス小売り受け付け開始
経済産業省は1日、来年4月から解禁される都市ガスの小売業に新規参入する事業者の事前受付を開始した。
だが、4日までに申請があったのは関西電力の1社のみだ。
昨年、電力小売り自由化の受付時には、初日に24社が申請した。
ガス小売りへの動きは鈍い。
「申請方法に関する問い合わせは多数ある。今後増えていくと捉えている」と資源エネルギー庁ガス市場整備室は楽観的だ。
1年前、電力小売りの事前登録が始まった際には、ガス、通信など多くの業界が名乗りを上げた。
それに比べると、関心が低いのは明らかだ。
理由は都市ガスの供給エリアと価格が関係している。
自由化以前、10社で国内市場を独占していた電力に比べ、都市ガス事業者は全国で200社超ある。
東京都だけで見ても、電力は東京電力(東京都千代田区)1社だったのに対して、東京ガス(同港区)、昭島ガス(同昭島市)、青梅ガス(同青梅市)、武陽ガス(同福生市)、大東ガス(埼玉県入間郡)、の5社がある。
新規参入企業がガスを供給するには、既存の都市ガス会社が持つガス管を利用する必要がある。
電力ほど簡単に参入できるわけではないという。
加えて、料金は下落傾向にある。
東京ガスの月間料金は2015年3月から1年間で1000円以上も下がっており、新規参入企業が入り込む余地は少ない。
電力小売り事業に参入した不動産会社の担当者は「まずは電力で様子見という雰囲気がある。ガスはそれほど甘くないと考えている」と話した。
消費者の関心も高くない。
電通(東京都港区)が1日に公表した、全国5000名を対象に行ったエネルギー自由化に関するインターネット調査によると、ガス自由化で購入先の変更を検討した人は13.3%だった。