コインランドリー投資が活況
統計データ|2017年01月23日
不動産価格高騰で家主が熱視線
かつて土地活用の手段のひとつだったコインランドリーが新たな投資先として注目されている。
不動産価格が高騰し、高い利回りが見込めなくなっているからだ。
開業資金が2000万円程度で運営に手間がかからない点が支持されている。
全国でコインランドリー店が増え続けている。
厚生労働省の調べでは、2013年度における全国のコインランドリー数は1万6693店で、03年の1万2726店から約4000店増加した。
昨年11月にはコインランドリーのフランチャイズ事業を展開するWASHハウス(宮崎市)が東証マザーズに上場するなど、市場の成長性がうかがえる。
同社の店舗数は14年12月の182店舗が、16年10月時点で354店舗と2年弱で倍近くになった。
直営とFCを含め298店舗のコインランドリーを全国展開しているマンマチャオ(神奈川県横浜市)も、出店が加速している。
16年は月15店のペースで新規出店した。
問い合わせは月に500件ほどで、15年に比べると倍増した。
マンマチャオの三原淳社長は「これまで当社の開業セミナーに参加するのは、中小企業の経営者が多かった。最近では家主が約半数を占めるようになった」という。
1月17日に東京で開催したセミナーには90人が来場し、16人が加盟の仮申し込みをした。
また、コインランドリーに設置する業務用洗濯機の販売会社によると、発注が増え、生産が追い付いていない製品もあるという。
昨夏以降、発注から納品まで半年以上かかる機種もあるほどだ。
家主がコインランドリー事業を始める背景には、不動産価格の高騰が関係している。
十分な利回りを見込める価格で購入できる収益物件が不足しているため、新たな投資先として関心が高まっているようだ。
不動産の購入に比べて、初期投資額が安い点も魅力のひとつだ。
店舗面積が30㎡で10台の洗濯・乾燥機を設置した場合、1500万~2000万円程の額になるという。
家庭の洗濯機保有率が9割を超えているにもかかわらず、コインランドリーの需要も増えている。
女性の社会進出で家事負担を軽減したいというニーズの増加が後押ししているからだ。
家主は所有する不動産の空きスペースを活用するのではなく、集客が見込める立地の物件を借りて出店するケースが多い。
3年前からコインランドリーのFC経営をしている比留川豪オーナー(神奈川県藤沢市)は、賃貸物件を借りて出店した。
開業のきっかけは、入居者の声だ。「コインランドリーが近くにないか」という一言に潜在的なニーズを感じたという。
2年前からコインランドリー事業を行う久留浩一郎オーナー(大分市)は、九州に6店舗を経営している。
利回りが最も高い店舗で25%を維持している。
老後の生活資金に不安を抱き、投資意欲が高まるなか、コインランドリーに関心を寄せる投資家が増える。