投資用シェアハウス 被害の真相を探る

スマートデイズ

事件|2018年01月29日

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人材紹介料頼みの借り上げモデル破たん

『かぼちゃの馬車』の屋号でシェアハウスの販売・管理を行うスマートデイズ(東京都中央区)のサブリース家賃不払い問題が波紋を広げている。都内を中心に、女性専用シェアハウスを約1万戸管理するも入居率は46.3%と悲惨な状況だ。1億円規模の返済を抱えるオーナーからは悲痛な叫びが上がる。なぜ、スマートデイズは行き詰まったのか。

5年で1万室販売
タレントのベッキーさんをイメージキャラクターにして、テレビCMを大々的に打ってきたスマートデイズは、設立わずか5年で約800人に1万1259戸以上を販売してきた。だが、2017年10月末、オーナーへ一方的に支払い変更通知書を送り、金融機関への返済額しかサブリース家賃を支払わなくなった。さらに、今年に入ってから17日と20日の両日、説明会を開催し「経営が窮地に陥り、返済額さえ支払えない」と発表した。
オーナーからは「自己破産するしかない」との言葉がこぼれた。

なぜ、こんな事態に陥ってしまったのか。
スマートデイズは、投資家に土地の情報を紹介し、投資家が購入した土地の上に、1室7㎡ほどのシェアハウスを企画して建築、販売。完成後は、同社が借り上げ、毎月契約のサブリース家賃を支払うが、一般的なサブリース会社のビジネスモデルと大きく異なる点がある。家賃以外の紹介料収入によりオーナーに一定の賃料を保証すると主張していた点だ。同社のメーンターゲットは地方から職探しに上京してきた女性。スマートデイズが企業に入居者を人材紹介することであっせん料を獲得し、家主へのサブリース家賃も保証するという。

人材派遣会社への紹介手数料は年収の25%だといわれ、年収300万円であれば、75万円が同社に入る。そのため、賃料6万円の入居者でも紹介手数料分で家賃を無料にしても黒字になるというのが同社の提案するビジネスモデルだった。
だが結局、家賃外の収入頼みのビジネスモデルは、自社の首を絞めることになった。17年1月の入居率は一時34%まで下がり、入居者からの家賃収入が見込めないまま、満室時以上のサブリース家賃をオーナーに支払い、さらに、次々と新たに物件の販売を続けた。まさに自転車操業だった。

人材紹介料が入るとしても、そもそも入居者がいなければ付随する収入は生まれない。入居者が同社の人材紹介を活用する保証自体ない危うい橋を目玉のビジネスモデルとしてうたっていたのだ。案の定、行き詰まるまでは早かった。

「自己破産しかない...」
スマートデイズで物件を購入したオーナーの大半は、年収600万円から1000万円以上の上場会社の会社員や経営者とみられ、シェアハウス1棟を土地代・建築費あわせて約1億円で購入。大半がスルガ銀行から3.5~4.5%の金利水準で融資を受けている。

オーナーに共通するのは、16年8月に発行した大地則幸・前社長の著書『「家賃0円で・空室有」でも儲かる不動産投資』をきっかけにスマートデイズでシェアハウスを購入している点だ。働く女性のサポートなど、社会貢献をうたい家賃収入がゼロでも仕事の紹介料が入るから、表面利回りで8%のサブリース家賃を払い続けられる。そんな言葉が随所にちりばめられている。

「今思えばすべてがおかしかった」。暗い表情を浮かべてこう話すのは、16年にスマートデイズからシェアハウス2棟を2億8000万円で購入した50代男性Aさんだ。3年前、老後に不安を覚え、当時勤めていた大手IT企業を退職し不動産賃貸業を始め、スマートデイズのセミナーに参加した。「同社のビジネスモデルに当時は妙に納得した。しかも入居率は高い数字を話していたと思う」とAさんは話す。自宅から近いシェアハウスをしばしば訪問。電気がついている部屋が少ないことに不安を抱き電話すると、「今、社宅の交渉が入っているので、空室にしている」という説明を受けたと話す。
Aさんは「私は子どもがすでに社会人なのでまだいいが、オーナーの中には30代、40代など子どもの学費がかかる世代もいる。自己破産だと嘆く声もあり、あきらめるな、と励まし合っている」と語った。

年収1200万円の40代男性Bさんは16年にスマートデイズの新築シェアハウスを2億円で2棟購入した。人材あっせんをして、管理まで一貫して行うパッケージビジネスだと、この先5年10年は安心だと思い契約した。独自の仕組みがあるので工事費の相見積書を取ったり、土地の値段を誰かに確認することも考えなかったという。

契約当時は300棟ほどだった物件数が、契約後に勢いよく増加した。16年1月の物件数は2596戸だったのが、その年の12月には6734戸と3倍近くになっていたのだ。Bさんは急激な物件数の増加に不信感を抱き、17年の夏、スマートデイズに確認。担当者からは「入居者を確保できているので問題ない」といわれた。しかし10月にはサブリース家賃の支払いが難しい旨の通知が届いた。融資先のスルガ銀行に金利交渉するも、本部に確認すると言ったきり連絡が来ない。自己破産を検討中だと話した。

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