顧客への不正貸付の可能性
従業員が顧客の融資審査書類として提出する預金残高の表示を改ざんした問題が、8月末に発覚した収益アパート販売会社TATERU(タテル:東京都渋谷区)。
9月に特別調査委員会を立ち上げ、契約したオーナーにアンケートを実施し、10月末までに回収した。
調査発表は12月予定だが、本紙で顧客複数人へ取材したところ、融資審査を通すためにTATERUが契約者の口座に現金を振り込んだ事実が判明。
投資家に対する不適切融資の指南が常習化していたことがうかがえる実態が明らかになった。
今年5月と7月にTATERUで2棟分の契約を結んだ40代サラリーマンのA氏は、いずれの契約も同社営業担当から預金残高表示の改ざんを指南された。
驚くのは、7月に契約した2棟目のアパート購入目的のための改ざんだ。
当初、自己資金は10万円で買えると言われて契約したA氏。だが、8月31日に同社営業担当からの電話に衝撃を受けた。融資審査が厳しくなったことを理由に約1億2000万円の土地付き新築アパートの融資審査に1500万円の自己資金が必要だと言われたのだ。
さらに耳を疑ったのは「当社から前家賃として670万円をAさんのネット口座に振り込みます。1棟目のときのようにそのお金をAさんが持っている3つの口座に都度移してスクリーンショットを撮り、1500万円あるようにしてください」と指示されたことだ。
実はA氏は1棟目のときも、自己資金は10万円で大丈夫だと言われて契約した後、500万円の預金残高の証明が必要だと言われた。
そこで今ある預金を1つのネット口座に集めてスクリーンショットを撮ったら、また別のネット口座に全額移して撮るという行為を3口座分行うように指示されていたのだ。