『門前仲町の集合住宅』は全18戸、約25㎡の1Rが集まった賃貸住宅だ。アウトドア用品なども置ける玄関の土間を採用するなど、個々の快適さを追究した18のプランを用意。引き渡し前に一括借り上げが決まった物件である。
間取りタイプが18戸全て異なるワンルームを用意
『門前仲町の集合住宅』の周辺は下町ならではの小さな工場や路地、住宅などが見られるエリアだ。
同物件はこの地に路地を引き込んで造られた。圧迫感を抑えるため、4階と5階の2棟建てとし、共有スペースを開放的にすることで、地域との連続性を高めている。
特長的なのは住戸の間取りがL字型になっている点だ。洗面・浴室・トイレを中央に配置するセンターコア方式を採用することで、隣接した住戸に生活の気配が感じにくい設計とした。
約25㎡の1Rでありながら合計18タイプの部屋が用意されている点も、同物件の特長といえる。浴室(洗面・トイレ含む)を構造壁が囲い、そこから約700㎜部屋側に出ている構造上必要な壁柱をうまく活用し、自然と区分された空間を創出した。
たとえば飛び出した壁柱と壁柱の間にキッチンを設置することで、一つの空間としてつながっていながらも独立性を確立しているのだ。
浴室に扉を設けず部屋の一部と捉え設計
同物件の浴室には基本的に居室側を仕切る扉を設けていない。換気面は全浴室に窓と浴室乾燥機を採用することで湿気に対応。そのうえで浴室が2方向につながるプランや、居室とバルコニーに行き来できるプランも設けた。設計を担当した篠崎弘之建築設計事務所(東京都渋谷区)はその理由について「浴室なども部屋の一部と考えているため」と語る。
扉がないことで空間がひと続きに感じられるうえ、同物件は全住戸角部屋・3面採光で、全面に腰高窓を採用しているため、プランによっては浴室から外の景色が眺められるというメリットもある。ちなみに2棟は約700㎜のフロアレベル差を設け、窓からの風景がかぶらないように配慮している。