Q.請負人への責任追及はいつまで?
A.注文者が気付いてから1年以内
2023年度の宅地建物取引士試験の問3では、次の事案を前提に請負契約についての知識を問うものでした。
「Aを注文者、Bを請負人として、A所有の建物に対して独立性を有さず、その構成部分となる増築部分の工事請負契約を締結し、Bは3カ月間で増築工事を終了させた」
この事案を前提に解説します。
増築部分の所有権 独立性と引き渡し
不動産の所有者は、その不動産に従として付合した物の所有権を取得します(民法242条)。増築部分が既存建物と別個独立の存在を有さず、その構成部分となっている場合には、増築部分は、同条により既存建物の所有者の所有に帰属すると判断されています。(最判昭和38年5月31日)
なお、建物の新築部分が従前部分と構造的に接合していない場合であっても、その新築部分の構造、利用方法を考察し、その部分が従前の建物に接して築造され、構造上建物としての独立性を欠き、従前の建物と一体となって利用され、取引されるべき状態にあるときは、その部分は従前の建物に付合したものと判断されています。(最判昭和43年6月13日)
ちなみに、注文者が、材料の全部または主要部分を提供した場合には、特約がない限り、目的物は初めから注文者のものとなります。また、請負人が材料の全部または主要部分を提供した場合には、特約のない限り、完成された目的物はいったん請負人のものとなり、引き渡しによって注文者のものとなります。
しかし、目的物の完成前に請負代金の全額が支払われた場合には、特別の事情がない限り、目的物は完成と同時に注文者のものとなります。