全国の管理会社に聞いた! 外国人入居者の受け入れ どうしてる?
管理・仲介業|2024年05月29日
外国人入居者の対応に、多くの管理会社が苦慮しています。文化の違いによる入居者間トラブルや逃亡による残置物など、問題は絶えません。外国人入居者特有の課題について、今まさに対応策を模索している人は多いのではないでしょうか。
外国人入居者の対応法と入居後の課題について、全国の賃貸管理会社を取材しました。
今回は、全国6社の管理会社を取材しました。規模が最も小さな会社が関東のE社で管理戸数6000戸、九州のD社が最大で2万5000戸です。いずれも地場では比較的大きい管理会社です。
最初に「外国人入居可能な管理物件の割合」を聞いたところ、4社が90%以上でしたが、E社のみ40〜50%と低い割合でした。E社の管理エリアは古くから外国人が多く住むエリアで、外国人入居者のトラブルもこれまで幾度となくあったそうです。そうした経験から、一定数のオーナーが外国人入居は不可としているといいます。
次に管理物件における外国人の割合を聞きました。A社が約20%と突出しており、B、C、E、F社は10%未満でした。A社は近隣の日本語学校の生徒を受け入れており、徐々に割合が増えていったそうです。
国籍別の割合を聞いたところ、中国・ベトナム・台湾・ネパール・インドネシアとの回答が多くありました。各社ほぼ同様の回答だったため、これらの国籍の外国人が全国的に増えていると考えられます。
続いて「外国人の入居条件」について、聞いてみました。各社が設けた条件として最も多く挙げられたのが「日本語での意思疎通ができるか」でした。自社の日本人スタッフが対応することもあるため、外国人の入居者にも最低限のコミュニケーションを求めている傾向があります。
また、「入居後の対応は誰が行っているか」の質問については、回答がわれました。外国語を話せる自社スタッフが行っているケースと、コールセンターや保証会社に一次受け付けを委託しているケースがあります。この対応は、管理物件に入居している外国人の数にもよるでしょう。割合が多くなれば自社だけでの対応が難しくなるため、アウトソースに切り替える選択肢が出てきます。
仲介についても二つ質問を設けました。年間仲介の外国人割合を聞いたところ、A社の20~30%が突出して多い結果でした。その他B、D、E社は10%未満という結果でした。A社は近隣の日本語学校と提携しているため、仲介割合が高くなっています。
仲介業務を誰が対応しているかについては、A社は保証会社の外国人サポートサービスに委託、B、C、D社は自社の外国人スタッフか、外国語が話せる日本人スタッフで対応しています。E社は日本語を話せる外国人が多いため、日本人スタッフが日本語で対応し、F社はアプリの翻訳機能などを使って日本人スタッフが実施しています。
最後に、入居後における外国人入居者の課題について聞きました。ABCE社が特に課題は感じていないと回答。D社は退去時の清算を上げました。退去後に母国に帰国する入居者はその後連絡が途絶えてしまい、清算業務が滞ってしまう事があるそうです。E社は主にコミュニケーションについて。F社は将来的な不安として外国人入居を進めた結果、物件内における外国人入居者の割合が増えてしまい、日本人入居者が退去するのではないか。と危惧していました。