入居者向けアプリ「totono(トトノ)」を提供するスマサポ(東京都中央区)は10月、新サービス「totono+(プラス)チャット対応代行サービス」の提供を開始した。新サービスを通してスマサポが賃貸管理業で実現したいビジョンについて、小田慎三社長に聞いた。
管理会社の業務負担減らす
クレームを分析 1棟ごとに対応策
totonoは、10月1日時点で125社が導入している入居者向けアプリだ。入居者からよくある質問事項をまとめた「FAQ」や「掲示板機能」などを備え、入居者対応業務をサポート。管理会社の仕事量と業務コストを削減する。
ビジネス・プロセス・アウトソーシング(BPO)となるtotono+チャット対応代行サービスでは、スマサポが不動産会社に代わり入居者対応を行う。集まった問い合わせ内容はスマサポが分析。管理会社と事前に取り決めた範囲で対応策を講じる。必要に応じて施工会社や駆け付けサービス事業者に対応を依頼することも可能だ。
totonoのトップ画面(右)入居者とのチャット画面(左)
一般的なアウトソーシングサービスとの違いは、totono+チャット対応代行サービスが、「管理」を最重視している点だ。
小田社長は「外部のコールセンターに業務をアウトソースするだけでは、発注先に仕事が移っただけで、問い合わせ自体の数は減らない。その結果、管理会社の費用負担が増え、入居者の満足度も上がらない」と話す。
そのため、スマサポは日本中で起きている生活トラブルを詳細に分類し、リアルタイムでデータ化。「どの地域の、どんな設備」「どんな物件で、どんなトラブル」「どんな時期に、どんな頻度で」といった個別の状況を把握し、賃貸物件1棟ずつ「個別の取扱説明書」を作るようなイメージで、対応策を見いだす。それらの内容をアプリのトップ画面に反映し、取扱説明書として機能の拡充を図っていく。
問い合わせ数減 採用環境を整備
「totonoが目指すのは入居者対応、特に電話対応そのものを減らすことだ」と話す小田社長。電話で入居者とのコミュニケーションをとる場合、「言った、言わない」問題や、感情的なトラブルも多い。また対応にあたるスタッフの採用においても精神的な負担をおそれるために難しくなるケースもある。
「少子高齢化が加速し、採用も厳しくなり、優秀な人材の確保が難しくなっている。管理会社は業務を見直し、誰でもできる作業的な仕事と、社内で行うべき仕事に分けることが重要だ」(小田社長)
そもそも管理会社は、オーナーの資産を守り、収益を最大化する提案をする立場にある。不動産の利活用提案は、まちづくりの提案ともいえる。
「当社が、全国の入居者対応に関わる作業を引き受けることで、管理会社がオーナー提案などの仕事に集中できるようにする。そうすれば、まちづくりをはじめとした管理会社の仕事を魅力的に感じる若者が新しい人材として集まってくる」(小田社長)
社内外の連携促す 快適な生活を支援
人の生活を支える重要な仕事である入居者対応をなくすことは不可能だ。しかし、業務の肉体的・精神的な負担から、若者を採用することは至難の業となる。「あらゆる業界・企業が人材を取り合う中で、クレーム対応を仕事に選ぶ人は少ないだろう。働く人がいなくなれば、管理会社は存続できない」(小田社長)
管理会社がこの先も存続できるようにするために、スマサポはtotono事業の展開を強化していく。totono+チャット対応代行サービスの提供において、まずは管理会社と入居者をつなぐプラットフォームになることを目指す。入居者対応の業務は、内容によって担当部署が分かれていたり、さまざまな提携会社との連携が必要であったりする。これらの社内外にまたがる連携を行いやすい仕組みを整えていく構えだ。
(2024年10月28日7面に掲載)





