地方都市では、人口減少とともに、中心部の衰退も著しい。かつてにぎわった商店街に人を呼び、空き店舗をリノベーションして継続的に活用するには、機動力のある地元の法人との協力体制が欠かせない。和歌山市は、まちづくりの活動を進める法人と連携し、まちなかの再生を進めている。
行政と民間、得意分野を分担
シャッター街にぎわいが復活
北ぶらくり丁商店街は、和歌山城の北側に位置する約200mの商店街。江戸時代から続く「ぶらくり丁」を冠する4商店街のうちの一つだ。高度経済成長期をピークに営業を続ける店舗は減り、2018年には約60店中、25店ほどになっていた。
この商店街に、21〜24年の4年間で18の新規事業者が出店した。他地域から加わった商店主も含め、商店街振興組合への加入率は100%だ。18年に約200人だった1日の通行人は、25年になり最多で約1200人に増え、にぎわいを取り戻しつつある。
こうした動きは、19年に商店街振興組合の桑島英樹理事長が、商店街に事務所を構えるsasquatch(サスカッチ:和歌山市)の小川貴央さんを「イベントをやろう」と誘ったことから始まった。小川さんは和歌山県湯浅町の出身で、09年ごろから和歌山県下で漁師町の空き家を使った映画祭やアートイベントを開催してきた。14年にまちづくり会社を設立し、まちづくり事業やイベントのプロデュースなどを行っている。桑島理事長は小川さんの活動を知ってはいたが、声をかけるまで接点はなかった。