定期診断が第一歩
大規模修繕を検討するにあたっては、まず専門家による定期的な建物診断を受けることから始め、長期的な視野で計画を立てることが重要だ。マンション管理組合向けコンサルティングを行うさくら事務所(東京都渋谷区)の土屋輝之氏は、「専門家による定期的な診断で、建物の現状を把握することが先決」と語る。建物全体について見る(目視)・触る(触診)・たたく(打診)といった診断を、できれば1年に1回、少なくとも3年に1回程度は実施することを土屋氏は勧める。
電気通信会社のオプテージ(大阪市)で、施工会社とマンションの管理組合やオーナーとのマッチングサービスを提供する「マンション修繕なび」プロジェクトリーダーの廣田安將氏も建物診断を推奨。廣田氏は「無料で診断を請け負う事業者は、後に修繕工事を提案してくることが多いので、その点を織り込んでおいたほうがいい」と語る。
◆方法を決める
大規模修繕には二つの方法があり、どちらにするかあらかじめ決めることが重要だ。土屋氏は「大きく分けて定周期保全と状態監視保全がある」と話す。定周期保全は、一定の年数が経過したら建物の劣化の程度にかかわらず定期的に修繕を行う方法。一方で状態監視保全は、定期的に建物を診断(監視)し、問題が見つかってから修繕に取り組むものだ。
家主の間では状態監視保全が選ばれることが多いが、監視の周期が長く、また問題発覚から着工まで時間がかかると失敗するケースも多い。建物や設備に関する知識を得たうえで、これまでの賃貸経営の方針や、自身の周辺にどういった専門家がいるかなどの状況を踏まえて決めると良いようだ。




