アパート開発のTATERU(東京都渋谷区)は11月22日、経営方針説明会を開いた。2018年8月に明るみに出た不適切営業問題以降、同社は企業ブランドの失墜でアパート販売がおぼつかなくなり、一時は関係者間で倒産危機までささやかれたが、現在は当初懸案だった在庫処理が一服。18年9月時点で200億円近く抱えていた在庫の一括売却が進み、約50億円まで圧縮した。構造改革を進めつつ、今後はアパート販売事業を縮小し、賃貸管理とホテル開発で利益を積み増していく。
一括売却による在庫処理が一段落
TATERUの説明会は、不適切営業問題が表面化して以来、初めての記者会見となる。古木大咲社長は、冒頭で再発防止策をあらためて説明し、これまで取り組んできた財務改善・構造改革の内容と、今後の経営方針を発表した。
財務内容については、問題発覚後200億円近く膨らんでいた棚卸し資産(販売用不動産などの在庫)の一括売却が進み、直近19年1~9月期の在庫を約50億円まで圧縮した。また、借入金を差し引いた現預金が前年同期の35億円から51億円に増え、古木社長は「現時点で倒産は非常に考えにくい」と強調した。
前期の通期決算(18年12月期)では、本業のもうけを示す営業利益が前年より87・8%低い大幅減益となった。理由は18年9月以降、広告自粛による営業力の低迷と、アパートの引き渡しの遅延、受注の取り消しなどが相次いだため。財務上の危機感から在庫の一括売却を進め、「評価損」を計上したことも業績に響いた。