スルガ銀行(静岡県沼津市)が抱える「1棟収益ローン債権」の利回りの下落が続いている。ローン返済に行き詰まる投資家を救済する一環で、CFが芳しくない貸し付け先などから金利減免交渉を受けていることが響いている。今後、この下落圧力がさらに高まる可能性が指摘されている。関係者の声を拾いながら詳細を追った。
1年で0.3ポイント減、73%が「要注意先」
スルガ銀行の「1棟収益ローン債権」は、1棟アパート・マンションのローン債権を指し、同じ賃貸住宅でもシェアハウスやワンルームマンション(区分)は対象外となる。
この「1棟収益ローン債権」は同行の収益柱で、残高は1兆1930億円。同行の全ての貸出金残高2兆6776億円の45%も占めている(19年9月時点)。
公認会計士・鹿谷会計事務所の鹿谷哲也代表は「低金利時代、利回り3%を上回るローン債権は、他行がうらやむレベル」と評する。同行を支える主力事業であることは間違いなさそうだ。
だが同債権の「利回り」(個別の残高を加味した加重平均)は、18年9月より少しずつ減少している。2019年9月時点で3・41%。前年と比べると、すでに0・3ポイントも下落している。同行のワンルーム債権の下落幅0・04ポイントを大きく上回っている。
審査基準などの低さなどから、不採算の1棟物件をフルローンで借り入れ、返済に苦しむ人が発生し、金利減免交渉を進めているためと考えられる。同行は金融庁の行政処分に応える形で、不正融資の有無問わず、金利の減免交渉に応じている。