共用部清掃を手がける五條ビルメンテナンス(神奈川県横浜市)は、品質を保つ仕組みづくりで清掃業務の受託棟数を伸ばしている。正社員と業務委託、合わせて45人のエンゲージメント向上にも取り組み、働きやすい環境づくりでスタッフの定着を図る。
品質保つ仕組みで差別化
受託数2600棟 185社と提携
「共用部の清掃業務は差別化が難しい。だからこそ、当たり前のことをきちんと行い、清掃の質を保つことが重要だ」。そう話すのは、マンションやビルの共用部清掃を手がける五條ビルメンテナンスの藤森龍一社長だ。
2015年に設立した同社は、神奈川県を中心に1都3県(東京、神奈川、埼玉、千葉)で事業を展開。エントランス、エレベーターなどの共用部からごみ捨て場、駐車場までマンションの専有部以外のすべての場所を清掃の対象とする。階段下など気付きづらい場所のクモの巣除去やごみストッカーの中の清掃、除草剤を使った計画的な除草まですべてがパッケージ化されている。料金は1~8戸の集合住宅の場合、月1回の清掃で4400円(税込み)から。2023年12月末時点で、定期的に清掃を担当する集合住宅の数は2600棟を超える。
同社は、清掃業務の品質を高めることに注力している。正社員と業務委託を合わせて45人の清掃スタッフが同じレベルで清掃を行えるよう、マニュアルを作成して作業品質に差が出ないよう努める。入社時、もしくは契約時には業務委託スタッフも含めて本社で研修を実施。同社の企業理念は「清掃を通して縁ある人を幸せに」。清掃を単なる作業と捉えるのではなく、入居者をはじめ、関係する人たちを幸せにする仕事をしているという意識付けを行う。
清掃スタッフは1人あたり1日約6物件の清掃を担当。スピードが求められる中でも品質を保つために、清掃終了後には担当社員に清掃前後の写真を送付。さらに各エリアを担当する社員は翌日までに抜き打ちで清掃後の物件を巡回し、清掃の漏れがないかを確認する。
入居者の顧客満足度の向上や内見客の入居決定には、共用部をきれいに保つことは欠かせない。一方で、共用部清掃を外注した場合、管理会社が清掃状況を細部まで把握することができず、清掃が行き届いていなかった際に、入居者やオーナーからのクレームにつながるケースがある。同社は1都3県で高品質の清掃を提供できることを強みに、提携する管理会社数を伸ばす。24年3月18日時点で、185社と提携。最初は1棟しか受注していなかった管理会社から、別の管理物件も受注するケースが増えているという。
売上高1億6500万円 前期比40%増収
社員エンゲージメントの向上にも努める。「スタッフが働きやすい環境をつくることで、質の高い仕事をするスタッフに長く働いてもらいたい。例えば、清掃業務を受注する際、日時指定をあえて受けていない。育児中のスタッフであれば、清掃予定の日に子どもが熱を出して清掃できなくなっても、数日以内に清掃を行えばいい」(藤森社長)
スタッフの誕生日には、お祝い動画を社員で制作し、動画と花束を贈呈する。普段顔を合わせることが少ないスタッフにも、つながりを感じてもらえる工夫を行っている。「実際に入居者や一緒に働くスタッフに感謝されることがモチベーションとなり、清掃品質に還元されている。この好循環を保っていきたい」(藤森社長)
清掃スタッフの誕生日にはお祝いの動画を送る
23年度12月期の売上高は1億6500万円。前期比140%と伸長した。求人に応募してきた人と一緒に実際に働いてみて合否を決定するなど、採用にも力を入れる。今後は清掃スタッフを増やし、受託棟数の拡大を目指す。「落ちている葉っぱ1枚を最後に拾うか拾わないかで満足度が変わってくる。入居者、管理会社、オーナーの全員に満足してもらえる清掃を目指したい」(藤森社長)
五條ビルメンテナンス
神奈川県横浜市
藤森龍一社長(38)
(2024年3月18日12面に掲載)




