当記事は賃貸住宅フェア2025in東京で講演したセミナーを書き起こしたものです。
講演者
ジェイエーアメニティーハウス
債権回収担当
小野 雄太氏
管理物件の家賃滞納、90%弱削減
サブリース2万戸訪問・SMSで収金
サブリースの管理戸数2万2085戸、入居率98.8%(2025年3月31日時点)の管理会社で、私1人が督促の業務を担当している。
私が毎月どのように動いているか。まず当月1日、前月分をまだ払っていない入居者に督促をする。ほとんどの未納者は前月末日の夜までに振り込んでいるが、残った未納者(2~3人程度)は、訪問などを交えて回収できるまで督促をしていく。
それからおおよそ5〜10日後、当月分の引き落とし処理後にまだ当月分が支払われていない人に対して、携帯電話のSMS(ショートメッセージサービス)を使って一斉に通知を行う。
さらに当月20日になっても入金がない人に、2度目のSMSを送付。そこから当月分の督促の電話連絡を始める。滞納の常習者でなければ、1〜2回程度電話をすれば回収できる。私が督促を担当している7年間で、未収率はおおよそ8分の1になった。
続いて、修繕費の未収についてどのような動きをしているか説明する。修繕費の未収については、毎月1度、必ず全員に対して督促状を発送している。督促状が宛所不明で戻ってきた場合は、住民票を取得して再度送る。常に月に1回は督促をして、決して放置をしない。そして年に1度、一挙に法的措置を行って裁判や差し押さえの申し立てをする。5年前との比較になるが、未収だった案件900件を、25年3月には211件まで減らすことができた。
セミナーに登壇した小野氏
会場には、170人の聴講者が集った
システム改善奏功対話術は〝良き上司〞
業務を進めるにあたり、重要だったのが管理システムの改善だ。弊社では、かつて滞納者一覧を印刷し、その資料を見ながら1件ずつパソコンに入力してデータをまとめて督促を行っており、非常に多くの手間がかかっていた。これを、一つの画面ですべての情報が集約された管理システムに変更した。滞納額、連絡先、職場、連帯保証人、連帯保証人の職場の連絡先まで、督促に必要な情報がすべて一目でわかる状態になり、ここからSMSの一括送信も可能。これでストレスなく実務をこなせるようになった。
次に、いざ督促を始めようというところで、どのように相手に話せばいいのか。私のテクニックを伝えたい。
まず、初見の人には、とにかく丁寧に督促する。担当者の印象が悪いと、次から電話に出てもらえなくなってしまうからだ。私は「恐らく残高不足かと思うのですが、引き落としがかかっていないようです。SMSでも通知をお送りしていますが、ご確認いただいていますでしょうか。ちなみに、どのような理由で今回入金されなかったかお聞きしてもよろしいですか」という形で聞いている。
相手に接するときの心構えとしては「良き上司であれ」。仕事が遅れがちな部下と話すときの心掛けで対応する。仕事が遅れている社員には、期日を決め、本当にそれまでにできそうなのか、その根拠やスケジューリングまで聞く必要がある。そのうえで改善を要求する。これを念頭に置いて督促に置き換え、支払いが遅れたり、約束が守れなかったりした人に対して「予定外のことがあったのはわかりました。今後は、何か起きた時点ですぐ伝えてください」と、何度も相手に伝える。一度伝えるだけでは効果がない。話すたび、約束を破られるたびに「何か起きたら、すぐに相談してください」と丁寧に、粘り強く訴えかけていく。
大事なのは、入居者に無理のない生活を送ってもらうことだ。督促する側としては時に厳しい言葉も必要になるし、一歩踏み込んで話せる信頼関係が重要になってくる。そのために、日々の督促に心を込める必要があると私は思っている。
家賃とは、本来生活を切り詰めてまで払うものではない。収支の聞き取りや、転居の必要性に関する説明をしっかり聞いてもらえる関係を入居者と築き上げ、信頼してもらえる管理を行ってほしい。
(2026年1月12日12面に掲載)





