ファースト・コラボレーション、27年に賃貸仲介2000件目指す【新社長インタビュー】

ファースト・コラボレーション

インタビュー|2024年10月17日

ファースト・コラボレーション 高知市 武樋 耕太郎 社長(32)

 高知市と高知県南国市を中心に約5600戸を管理するファースト・コラボレーション(高知市)の2代目社長となったのが、武樋耕太郎氏だ。2023年11月に就任した。賃貸仲介を軸に事業を拡大していく。そのために重視するのが、顧客満足度の向上だ。接客力強化のため、人材育成に力を入れる。

コミュニケーション能力重視

顧客満足1位狙う 交流通じ、社員育成

 武樋社長が今後の経営で重視をするのが、賃貸仲介における人材育成だ。

 ファースト・コラボレーションの売り上げ構成比はおおよそリフォーム事業が33%、賃貸管理事業が31%、賃貸仲介事業が24%、付帯業務が11%、その他が1%。賃貸管理・仲介を事業の柱とする。

事業構成比

 23年度の賃貸仲介件数は1586件。そのうち、他社管理物件が6割、自社管理物件が4割だ。

 23年から新しくトップを務めている武樋社長は大学を卒業後、エイブル(東京都港区)に入社。5年間、直営店で賃貸仲介業務に従事し、店長代理にまで昇進した。その後、20年にファースト・コラボレーションに入社。同社に転職した後も、2店舗の店長を経験するなど、賃貸仲介業務を中心に経験を積んできた。22年10月には取締役社長に、23年に代表取締役社長に就いた。

 社長就任後も賃貸仲介事業は武樋社長が主体となり、賃貸管理事業は栗林弘幸常務が中心に担当しているという。

 同社の賃貸仲介部門に在籍する15人の社員の中には、入社歴3〜4年の若いスタッフが多い。そのため、彼らの人材育成に力を入れている。武樋社長は「24年度と25年度は、加盟している賃貸仲介フランチャイズチェーン(FC)『エイブルネットワーク』における顧客満足度全国1位を目標に掲げ、人材育成に取り組んでいく予定」とコメントした。

リーシング力強化 寄り添う接客習得

 エイブルは、年に1回、部屋探しを行う顧客へのアンケートを通じて、満足度を測定し、エイブルネットワークの加盟店における優秀店舗の表彰を行う。

 ファースト・コラボレーションは05年から通算8回ほど1位を取得する優良企業だった。しかし、新型コロナウイルス禍による来店者の減少や、スタッフの入れ替わりの結果、仲介件数はピークである18年の約2000件から8割に減少。最近は1位を逃している。

 そこで、再び1位を獲得するために、満足度アンケートの回収率の向上と、社員教育に力を入れている。

 アンケートの回収率向上のため、顧客への配布率を100%にすることを目指す。

 人材育成のために、定期的な賃貸営業のロールプレイング(以下、ロープレ)の実施と社内外の人との交流により、接客に重要なコミュニケーション能力やビジネスマナーの強化を図る。

 ロープレは店舗同士の合同は年に2回、外部研修は毎月2回実施。社会人経験が浅い社員が多いことからロープレを通じ、名刺交換の仕方といったビジネスマナーを身に付けさせている。

 社内や取引先企業との花火や忘年会などの交流会は頻繁に実施する。そこで、新入社員に司会などの役割を任せ、人とコミュニケーションを交わすきっかけをつくっている。交流を通じて、相手側の要望に気付き、それをかなえるために動く積極性を身に付けてもらうのが狙いだ。

交流会の様子

はりまや住宅やファーストエステート、取引先事業者も含めた交流会の様子

 武樋社長は「チームワークとコミュニケーションを重視した経営を行っている。コミュニケーション能力を伸ばすことで、顧客の希望に合った物件を理解して、提供できるようになり、顧客の感動につながると考えている」と話す。

 エイブルネットワークの顧客満足度1位を獲得することで自社のブランディングを狙う。さらには、社員も地場でのみ他社と競うだけでなく全国レベルで成長するという広い目線を持って実力アップを目指してほしいとする。

 27年までには仲介件数を2000件に回復させる計画だ。

新規受託を推進 管理7000戸に拡大へ

 顧客満足度を向上させ、リーシング力を強めることで、管理戸数の増加も狙う。27年に管理戸数7000戸達成が目標だ。並行して管理営業にも力を入れることで、目標数値達成を目指す。

 賃貸管理部門の担当スタッフは15人で、コロナ禍で控えていたオーナー訪問を再開。既存オーナーからの新規受託を目指す。3カ月に1回は必ず会うことを目標に5月に取り組みを始めた。訪問時にはオーナーとの親密度を上げるため、困りごとを中心に話を聞く。雑談ができるような関係性を作り上げ、今後の売買仲介や相続の案件につなげていくことが狙いだ。

 武樋社長は「既存オーナーがすでに持っている物件の追加管理の委託や、新規購入物件の管理を任せてもらうことで、管理戸数を増やしていきたい。他社に管理を委託している物件も、自社に任せてもらえるようにしたい。商圏の別会社と管理を行き来している物件が多いので、オーナーの信頼を獲得して、管理替えされないようになれば達成できる数字だとみている」と話す。

グループで合宿 シナジー創出目的

 今後は、グループ間での協力関係の構築にも力を入れる。

 年に1回、グループ会社で建売住宅の建築販売をする、はりまや住宅(高知市)と、売買仲介事業を行うファーストエステート(同)を含め、3社で合宿を実施している。合宿では次の期の予算や目標数値を決めるほか、同社の経営理念についてグループ社員全員で再考する機会を設ける。

 合宿を通じたグループ内の社員交流を通じて、互いの業務内容への理解を深めるのも狙いだ。今後は互いの事業を通じて、さらなる売り上げ向上のためのシナジー創出にも取り組んでいく。

 「これから賃貸住宅の市況も変化が激しくなることが予想される。その変化を乗り越えるためにも、グループ会社を含む社員全体のコミュニケーションを重視している。チームワークがあり、チャレンジ精神に富んだ企業風土を変えることなくさらに強固にして、次の世代へ継承させていくことが新社長としての使命だと考えている」(武樋社長)

(野中)
(2024年10月14日20面に掲載)

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