山一地所、申し込みの30%のIT活用【仲介・管理会社ノート 申込~契約編②】

山一地所, 加藤屋商店

企業|2021年11月12日

  • twitter

山一地所の本社外観

 賃貸仲介において、各社がどのようなツールやフローで行っているのかを取材する本企画。今号から、入居申し込みから賃貸借契約までの詳細や、オンライン対応の浸透率についてを聞く。

山一地所、1件21分の時短に成功

 年間仲介件数約4900件の山一地所(宮城県仙台市)では、申し込みから契約までの業務にITを活用し、1件当たり21分の時間削減に成功し5分での対応が可能になった。時間削減の対象となった件数は年間仲介件数のうち1440件にあたる。

 同社の売り上げはグループ全体で約61億円。内訳は、非開示となる。全従業員数129人のうち、賃貸仲介担当者は30人。内訳は、営業スタッフが25人、事務スタッフが3人、事務との兼任スタッフが2人だ。商圏は仙台市を中心に宮城県全域を網羅し、仲介店舗数は全3店舗。成約件数のうち70%が単身者向け物件となる。

山一地所の会社情報まとめ

 賃貸仲介事業の売り上げは約5億5000万円。内訳は仲介手数料、家財保険の代理店手数料、家賃債務保証の代理店手数料、付帯商品などの紹介手数料を含む。仲介手数料は家賃の1カ月分で、平均成約単価はAD(広告費)込みで9万円。

 営業担当1人あたりの年間仲介件数は約180件となる。賃貸仲介のうち、専任媒介は55%、一般媒介は45%。来店成約率は平均65%だ。

 同社の申し込みから入居審査までの業務におけるIT活用実績は30%。申し込みに関しては、イタンジ(東京都港区)の「申し込み受け付けくん」を2019年12月ごろから導入している。申し込みをウェブ上で行うシステムで、顧客が一度入力した個人情報を、保険や保証会社との契約の際にも流用でき記入の手間を削減できる。入力不備についても自動でチェックされ記載漏れを防ぐというもの。

 また管理会社側は入力用のフォーマットの作成や記入漏れのたびに発生していた確認のやりとりがなくなる。そのため、紙で対応していたころは1件あたり26分かかっていたが、現在は5分で対応が完了。業務軽減につながっているという。

 重要事項説明および賃貸借契約については、顧客の要望を優先するためオンラインと対面の両方を用意。結果、対面を選択する顧客が多くオンライン対応割合は%未満となっている。

 賃貸営業部の澤井邦匡部長は「今後もIT重説に関しては顧客の選択を優先していく方針のため、現時点では割合を積極的に増やすことはしない。IT重説のメリットとして感じているのは、営業部が外出するコアタイムを除いた午前の早い時間や夕方以降に対応でき、時間の有効活用につながる点」と語る。

 重要事項説明の体制は、賃貸仲介部門のスタッフを中心に他部署スタッフを含めた宅建士保有者が行う。全従業員のうち宅建士の有資格者は約55%の70人程度を占めるという。

 家財保険会社は全管協少額短期保険(東京都千代田区)で、契約手続きは90%オンラインで対応している。

 契約後の鍵の受け渡しは、デジタルキーなどの対面受け取りが不要な場合の5%となる。

 IT活用の課題について、澤井部長は「当社の基幹システムと連動していないため、各システムの間で人が入力作業を行っている状態。契約完了までを完全オンライン化できないと、契約の過程をまとめるのに紙を使う必要が出てくる」と話す。

 将来的には、ITを活用し業務効率化した分の人件費を顧客向けのサービスに回すことで満足度向上を図っていきたいとし、IT化へ前向きな姿勢を見せる。

 

加藤屋商店、重説や契約は対面が9割

特約を確実に伝えトラブル抑制

 千葉県流山市を中心に年間100件弱を賃貸仲介する加藤屋商店(千葉県流山市)は、入居時の約束事やオーナーと取り決めた特約を確実に管理物件の入居希望者へ伝えるために、対面での契約業務にこだわっている。他社の仲介会社が申し込みを決めた場合でも、契約業務に関しては必ず同社で対応し、入居後のトラブル抑制を図っている。

 売上高は非開示。事業別売り上げ構成比は、売買仲介が60%、賃貸仲介と賃貸管理が各20%となる。流山市内の1店舗で、全社員3人のうち2人が賃貸仲介の接客営業に従事する。

加藤屋商店の会社情報まとめ

 賃貸仲介の売り上げには、家賃の1カ月分となる仲介手数料とAD(広告費)のほか、家賃債務保証会社からの契約手数料を含む。仲介する物件の家賃は、単身向けで6~8万円、ファミリー向けで13~15万円となる。成約単価は平均10万円。

 営業スタッフ1人あたりの賃貸仲介件数は、年間50件弱。繁忙期は平常月の1.5~2倍の成約件数に上る。仲介した成約物件の9割以上が他社の管理物件だ。

 成約客は、女性が6割、男性が4割。新型コロナウイルス下では都内に勤務する30~50代の会社員やDINKsがテレワークになったことで広めの部屋を求めて、同社の商圏である流山市に住み替える動きも目立っているという。

 内見後の申し込みは、紙が6割、電子が4割だ。大手ハウスメーカーの管理物件を申し込む際に、電子化で対応するケースが多い。ただ、電子申し込みでは文字入力に詰まったり、高齢の顧客が慣れない電子機器の操作に困惑したりする場面もあるため、同社では入力の不備を防ぐ観点から、申し込みのほとんどを店舗での入力・記入としている。

 藤原八千代社長は「本人確認に必要な身分証などは、対面の場合は提示するだけで済むが、電子申し込みの場合は写真をアップロードする手間など、オンラインの作業に慣れない顧客側に手間がかかっている気がする」と語る。

 家賃債務保証の加入に関しては、自社管理物件の場合、エポスカード(東京都中野区)が提供する保証サービス「ROOM iD(ルーム アイディ)」を利用している。入居審査を通過しなかった顧客に対しては、できるだけ早くほかの保証会社での審査を試みるために、電話で審査結果を報告している。

 賃貸借契約と重要事項説明は同日に行っている。実施方法は対面が9割、非対面が1割となる。顧客の要望があった場合のみZoomやLINEのビデオ通話を利用し、非対面で対応する。

 成約した案件の中でも、特に自社の管理物件に関しては、契約業務を全てすべて同社で実施。禁煙やペットの飼育不可といった入居ルールの周知を徹底する。物件ごとに異なる特約を契約時に入居希望者と顔を合わせて話しておくことで、オーナーに対する管理会社としての責任を果たしている。

 申し込みから契約までの所要期間は平均1週間。鍵の受け渡しは、入居日の前日となる。

加藤屋商店 藤原八千代社長の写真

加藤屋商店
千葉県流山市
藤原八千代社長(40)

 

(11月8日7面に掲載)

おすすめ記事▶『エヌアセット、オンラインでの重説7割【仲介・管理会社ノート 申込~契約編①】』

検索
管理戸数/仲介件数/人気設備/建築 賃貸市場ランキング

アクセスランキング

  1. イノーヴ、表参道に猫共生型物件

    イノーヴ

  2. 野村不動産、シェアハウス参入

    野村不動産ホールディングス,野村不動産

  3. 賃貸住宅市場とは ~データで読み解く市場構造と課題~

  4. センチュリー21、加盟店向けに秋の戦略会議開催

    センチュリー21

  5. 請負契約【賃貸不動産経営管理士試験対策】

    【連載】2021年試験対策 賃貸不動産経営管理士

全国賃貸住宅新聞社の出版物

  • 土地・建物の資産を最大限に活用するための
    賃貸不動産オーナー向け経営情報誌

  • 展示会の出展先・来場先を探すための
    情報メディア

全国賃貸住宅新聞社のデータベース

  • 賃貸経営の強い味方
    賃貸管理会社を探すならここから検索

  • RSS
  • twitter

ページトッップ