KUS(東京都新宿区)が設計・監理を進めてきた木造5階建ての「下馬の集合住宅」が竣工した。正確には1階のみRC造でテナント仕様、2〜5階が木造で各階1部屋ずつの全4戸。足かけ10年で完成した。
木造部分の構造は、各階のフラットスラブを柱が支え、外周を覆う「木斜格子」が水平力を負担する形式とした。また、耐火部材の開発費を抑えるために柱、床(屋根)を石膏ボードによる一般被覆型耐火部材としたので、柱、床が仕上げ材として木のまま露出することはないが、ブレースである「木斜格子」は火災時に消失しても建物崩壊にはつながらないため、木材あらわしとしているのが特徴。建物外周部の「木斜格子」をふんだんに使うことで、内部空間のみならず外観にも木の魅力があふれ出るようなデザインを目指したという。
間取りは1LDKで、面積は68m2〜78m2。窓は高さ約3mの天井まで届くサイズ。床は複合フローリングで、無垢の突き板を貼っている。「木材の温かみや柔らかさに価値を求めてくれる人に来てほしい」とKUSの小杉栄次郎代表は話す。建設費は同規模のRC造の約2割増しだが、国交省からの割り増し分補助の決定や、オーナーの要望があったことで建設に踏み切った。
プロジェクトのスタートは2003年。「木造耐火建築」であることを前提として進められてきた。
同物件に東急東横線学芸大学駅から徒歩5分。管理は大和リビングが担当する。