賃貸管理業界でAI活用の動きが広がる中、スマサポはその前提となるデータ整備の重要性を訴える。入居者アプリとBPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)を組み合わせた独自の仕組みにより、各管理会社のデータベース構築を支援。不動産会社がオーナー向け提案業務に集中できる業界の未来を描く。
入居者対応履歴の蓄積進む
アプリとBPOを組み合わせ
スマサポの小田慎三社長は、賃貸管理業界においてAIを本格的に活用し、業務効率化を進めるためには、正確なデータベースの構築が不可欠であると指摘する。
現状では、多くの管理会社の基幹システムにおいて、情報の入力規則が統一されていなかったり、重要な項目が欠落したりしている。そのため、AIに読み込ませるためのデータが整理されていないという課題を感じている。
この課題を解決するため、同社は自社で展開する入居者アプリ「totono」を窓口とし、AIとBPOを組み合わせた「to tono Phase2.0」の提供を推進する。
入居者アプリを通じて集まる日々の問い合わせやトラブル対応の情報を、BPOとしてスマサポのスタッフが選別・整理。システムに蓄積していく仕組みだ。
小田社長は「業界でAIを正確に活用しようとしたとき、基となるデータベースが極めて重要になる。しかし、全国に約3万社ある管理会社が、自社単独で過去の紙の情報などをさかのぼってデータ化するのは、リソース的にも困難だ。われわれがフィルターとして介入し、新しく入ってきた情報を整理整頓して、AIに学習させていく必要がある」と説明する。
スマサポは入居者との接点となるデジタルアプリ、人力でデータを整えるBPO、そして業務の最適化・効率化を図るAIの三位一体のモデルを構築。コストを削減しながら、各管理会社のデータベース化を推進していく。
累計50万件の問い合わせ情報活用
totonoを通じては、これまでに累計50万件に上る、入居者からの問い合わせデータが蓄積されてきた。こうした過去の対応データを分析した結果、設備に関する故障などの問い合わせが、全体の4割近くを占める状況が見えてきたという。「新築時はどのようなエアコンや給湯器が入っているか把握できていても、築20年が経過した既存物件では、途中のリフォームで何に変更されたかわからなくなっているケースが多い」

新築だけでなく既存物件においても、物件・住戸ごとの設備のデータをしっかりと集め、蓄積していくことが、将来的にAIによる回答の精度向上に直結すると同社はみる。
小田社長がこうしたデータ整備の先に見据える未来像は、入居者対応をスマサポが丸ごと受け持ち、管理会社がオーナーへの営業に集中できる環境の実現だ。
入居者対応は、設備の不具合やクレーム処理など心理的負担が大きく、利益を生まないコストセンターになりがちである。
一方で、オーナーへの提案業務は高度な対人スキルが求められる。物件の価値を高めるリノベーション提案や、家賃設定の引き上げ、資産組み換えに向けた売却相談など幅が広い。
小田社長は「入居者対応は全国どこでも事象が似通っており、アウトソーシングで業務を集約できる。一方で、千差万別のオーナー対応は集約できない。管理会社は入居者対応を手放し、浮いたリソースをオーナー提案により利益を上げる仕事へと振り向けるべき。入居者対応を切り離すことこそが、不動産会社の事業継続の実現につながると考えている」と語る。
(2026年5月11日7面に掲載)





