管理会社への価値創出に注力 契約業務のデジタル化推進【家賃債務保証サービス②】

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賃貸経営|2023年05月30日

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 2020年の民法改正も追い風となり、利用率の高まっている家賃債務保証サービス。滞納家賃や原状回復などに対する保証範囲も充実化が進み、販売代理店となる管理会社の多様な要望にも柔軟に対応している。主な家賃債務保証会社の商品や取り組みについて紹介する。

RENTON/CAPCO AGENCY、原状回復、設備費用も保証

賃貸経営を支援

 家賃債務保証事業を展開するCAPCO AGENCY(カプコエージェンシー:愛知県名古屋市)の完全子会社で、賃貸管理を手がけるRENTON(レントン:東京都千代田区)は、家賃債務保証付き収納サービスに原状回復と住宅設備に関する費用保証を加えた商品を提供している。

 商品名は「Three Arrows(スリーアローズ)」。2月から一部地域の管理物件で提供を開始した。家賃債務保証付き収納サービスのほか、経年劣化したクロスやクッションフロアの貼り替え費用を保証。さらにエアコンや給湯器、インターホンなどの室内設備の修理交換費用を保証するものとなる。各種保証はCAPCO AGENCYが行う。

 商品の提供はガス・電力などのインフラ企業や宅配事業者など、物件を定期訪問する機会のある会社と連携して行う。訪問時に不具合のある箇所をヒアリングして修繕の手配を行うことで、対応の迅速化や人件費の抑制につなげる。物件訪問時には共用部の掃き掃除やごみ集積所の点検報告なども実施する。

Three Arrowsサービス相関図

Three Arrowsサービス相関図

 利用料金は、物件の設定賃料の5%からで最低料金は2750円(税込み)。物件の仕様や間取りによって料金は異なる。CAPCO AGENCY営業本部の佐藤稔三執行役員は「当社は家賃管理などのソフト面には強みを持っているが、ハード面の管理は単独ではできない。インフラ企業などと連携することで物件の不具合への対応力を担保し、オーナーの賃貸経営と入居者満足度の向上に貢献していく」と話す。

ニッポンインシュア、トラブル対応サービスを付帯

管理業務の課題解決を意識

 ニッポンインシュア(福岡市)では管理業務の効率化に寄与する商品開発を意識している。そのうちの一つの取り組みが、入居者トラブルの解決支援を手がけるヴァンガードスミス(東京都港区)との業務提携だ。

 ヴァンガードスミスが提供する「Mamorocca(マモロッカ)」は、元警察官が相談員となり、騒音や迷惑行為などに起因するトラブルを管理会社に代わって解決まで導くもの。ニッポンインシュアは2月14日より、同サービスを家賃債務保証商品に付帯して提供している。

 1月27日には、月極駐車場のオンライン契約サービスを展開するニーリー(東京都中央区)と提携した商品をリリース。駐車場料金の家賃債務保証サービスに関する申し込み、審査、契約締結、駐車場の賃貸借契約の手続きをワンストップで行うことができる。これにより、利用者および管理会社の各種手続きが簡素化されるメリットがある。徳岡拓郎取締役は「顕在化したニーズを商品にしても遅い。日頃の営業活動から管理会社の潜在的なニーズを察知して商品に反映することを意識している」と話す。

アーク、保証プランをカスタマイズ

付帯サービスを8種類用意

 アーク(岩手県盛岡市)は2007年より、家賃債務保証サービス「マイガード」を展開している。保証対象は滞納家賃や明け渡し訴訟、原状回復に関わる費用など。それに加えて支払い方法や付帯サービスを販売代理店ごとに任意に設定して販売できる点が特徴だ。

 保証料の支払い方法は一括払いや年払い・月払いなどから選択することができる。代理店ごとに保証料率の設定も可能だ。学生や生活保護受給者向けの保証プランも用意する。

 付帯サービスに関しては、24時間駆け付けや見守りサービスなど8種類を用意。家賃滞納以外のリスクの回避や、入居者へのサービス品質向上に寄与する。最近では1人暮らしの高齢者の増加により、見守りサービスや孤独死、無断退去が発生した際に退去や残置物の処理の手続きを行うスムービングサービスの需要が高まっているという。

 大泉毅社長は「販売代理店が売りやすいようにカスタマイズできるのが同商品の特徴だ。全国エリアでの家賃保証の付加価値を高め、全ての人が安心して住生活を確保できるようにサービスの質の向上に取り組んでいく」と語る。

アーク 大泉毅社長の写真

アーク
岩手県盛岡市
大泉毅社長(50)

 

 

ジャックス、オンライン手続き開始

完全ペーパーレス可能に

 ジャックス(北海道函館市)は、3月から家賃債務保証契約をオンラインで完結する「JACCS‐Web(ジャックスウェブ)賃貸システム」のペーパーレス運用を行っている。

 他社が提供するウェブ申し込みサービスを連携または利用し、家賃債務保証委託契約の完全ペーパーレス化を実現する。

 運用方法は、まず不動産会社が顧客から賃貸借契約時に家賃債務保証契約も成立する旨の同意を得る。次に申込者がウェブ上で家賃債務保証委託契約の申し込みを行う。審査が通過し賃貸借契約が完了した段階で、「契約成立ボタン」を押すのみ。賃料の引き落としはSMS(ショートメッセージサービス)などで口座振替手続きを案内する。

 契約書の回収業務が不要になるため、不動産会社の業務負担の軽減につながる。

クレディセゾン、家賃をカード払い

各種サービスの割引特典も

 「セゾンの家賃保証」を展開しているクレディセゾン(東京都豊島区)は、2022年10月よりクレジットカード「SAISON GOLD Premium(セゾンゴールドプレミアム)」を家賃債務保証サービスと絡めて展開している。セゾンの家賃保証への加入者のみ、1万1000円(税込み)のカードの年会費が無料となる。

SAISON GOLD Premiumの写真

SAISON GOLD Premium

 入居者は、カードで家賃の支払いができるほか、利用料金に応じたポイント還元、映画館や飲食店、レジャー施設などの割引特典が受けられる。各種支払いにより永久不滅ポイントが付与され、家賃の支払いやセゾンの家賃保証の更新料にポイントを充当できる。セゾンの家賃保証に特典が豊富なカードを付帯することで、入居者へ保証サービスの利用メリットを訴求し、契約数の増加を狙う。

ラクーンレント、既存の保証を追加補填

他社商品でも切り替え不要

 ラクーンレント(東京都中央区)は2022年11月より補填(ほてん)型家賃債務保証サービス「RACUHO(ラクホ)」を提供している。

 既存の家賃債務保証契約は残したまま、一般的な保証ではカバーしきれない費用を追加補填するサービス。他社の商品であっても既存の保証契約から切り替える必要はなく、連帯保証人がいない場合でも利用可能だ。契約はオーナーとラクーンレントの2者間で行う。

 限度額30万円の保証料は1年契約で1万9800円(税込み)。賃貸借契約に関わる費用であれば原則保証の対象となり、未払い家賃のほか、原状回復費用、残置物撤去費用などに対応する。申し込み手続きは賃借人に関する質問事項に回答するだけで進められる。連帯保証人がいない物件での利用が比較的多い。

アドヴェント、エリア絞り細やかな審査対応

主力は孤独死保険付き

 東京都、千葉県、埼玉県、神奈川県の1都3県で家賃債務保証事業を展開するアドヴェント(東京都豊島区)は、居住用・事業用両方の家賃債務保証を手がける。主力商品は孤独死保険付きの居住用家賃債務保証「居住用Bプロテクト」。居室内で事故が発生した場合、空室期間の家賃の50%、家賃を減額した場合は減額分の50%を11カ月支払うことに加え、原状回復費用や、見守りのためのセンサー設置などの再発防止費用も保険会社の判断で補償する。

 同社は審査や滞納時の対応の質にこだわる。梅田弘次社長は「契約者には必ず電話をして丁寧な審査を徹底する。一方で、身寄りのない人には緊急連絡先代行事業者を紹介するなど、審査に通ってもらうための相談にも乗る」と話す。

アドヴェント 梅田弘次社長の写真

アドヴェント
東京都豊島区
梅田弘次社長(60)

 

 

SPパートナーズ、保証会社の設立支援

審査、滞納督促などを代行

 1都3県を中心に家賃債務保証事業を展開するSPパートナーズ(東京都中央区)は、2017年5月より管理会社による家賃債務保証会社の設立に関するコンサルティングを行っている。

 即効性のある新たな収益元をつくるため、管理会社へ家賃債務保証会社の設立を提案。保証サービスの提供により初回保証料や年間保証料などの収益が見込める一方、入居者の審査や滞納発生時の督促・回収業務、キャッシュ支払いは容易ではない。

 SPパートナーズでは、家賃債務保証事業の実務や家賃債務保証会社へのコンサルティング経験に基づき、家賃債務保証会社を設立した際の収益性や事業継続性のシミュレーションを行う。保証審査や一定期間の代位弁済、滞納時の督促はSPパートナーズが提携する信販会社・弁護士が行う。管理会社は、保証審査を通過した入居希望者の入居可否をオーナーに確認し、引き受けの判断をするだけに留めることで、業務負担を減らす。

 導入費用は55万円(税込み)で、月額利用料は別途設定する。オプションで保証業務に関する事務委託をする場合、委託料はその月に契約した保証賃料の10%となる。

三友国際、入金管理業務を効率化

 金融関連事業者向けのソフトウエア開発・販売で実績を持つ三友国際(東京都新宿区)は、家賃債務保証会社向けの業務管理システム「家賃保証兼家賃収納代行システム」を開発、提供している。

 家賃債務保証サービスの申し込み・契約情報、家賃などの入金・滞納状況などを一元的に管理できるシステムだ。複数の電子入居申し込みサービスとも連携し、入居者情報の入力業務の低減にも貢献している。

 家賃債務保証サービスの販売代理店となる管理会社の要望が年々多様化する中、各社の業務フローに合わせたカスタマイズができる点も強み。開発案件として、契約者ごとにバーチャル口座を開設し、消し込み作業を大幅に軽減することにより入金管理業務を効率化した事例もある。

 2006年に提供を開始し、管理会社系列の保証会社、信販系保証会社、独立系保証会社など約40社での導入実績がある。

NCS&A、基幹システムを提供

 ITサービスベンダーのNCS&A(大阪市)は、家賃債務保証会社向け基幹システム「Guras(グラス)」を2010年から販売している。

 申し込み審査の際に必要な名寄せ、初回保証料と更新時の請求や入金登録、督促履歴の確認など、家賃債務保証に関わる基本業務にクラウド上で対応する。機能に関しては利用する家賃債務保証会社の要望に合わせた設定が可能だ。

 豊富なオプションも用意。引き合いが多いのが販売代理店が使えるオプション機能だ。例えば、仲介会社などの販売代理店が、専用のウェブ画面から申し込み審査の受け付けや審査状況の確認、契約書の作成、代位弁済の受け付けなどを行えるようになるもの。電話やファクスでのやりとりが不要となる。

 今秋には日本信用情報機構(以下、JICC:東京都台東区)とのシステム連携を予定している。JICCが取り扱う信用情報の照会には入居者情報の再入力が必要だった。連携後はGurasに登録された情報から自動で審査ができるようになり、JICCが保有する取引履歴のデータから数分で精度の高い審査が可能となる。

(2023年5月29日12・13面に掲載)

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