Q.代理人が詐欺をしたらどうなるの?
A.相手方は民法96条で取り消せます
改正前の民法では争いが?
改正前(現行)の民法101条1項は「意思表示の効力が意思の不存在、詐欺、強迫又はある事情を知っていたこと若しくは知らなかったことにつき過失があったことによって影響を受けるべき場合には、その事実の有無は、代理人について決するものとする」と定めていました。
そこで、古くから判例は、意思表示の効力が詐欺によって影響を受ける場合にも、この事実の有無は代理人について定めることを規定しているのが同条であると解し、代理人の詐欺により相手方が意思表示をしたときも、意思表示の効力が代理人の詐欺によって影響を受ける場合であるとして、同条を適用して代理人で判断されるとし、その上で、代理人の詐欺を「第三者」の詐欺とした(本人の悪意が必要です)上告理由に対し、代理人が相手方を欺罔(きぼう)した以上、第三者ではなく「相手方」の詐欺であるとして、本人のその事実についての知不知は関係がないとしていました(大判明治39年3月31日)。
つまり、代理人の詐欺で相手方が意思表示をした場合も、代理人の詐欺によって相手方の意思表示が影響を受けた場合であるとして、改正前(現行)101条1項を介してこの事実は代理人で判断されるとしたうえで、代理人が相手方を欺罔した場合であるとして、民法96条1項の「相手方の詐欺」に当たると判断していました。