40年超の税理士事務所が語る 特例を最大限活用する不動産相続対策【賃貸住宅フェア2025 セミナーレポート】

税理士法人安心資産税会計

その他|2026年02月09日

相続時に有効、二つの特例制度解説

大塚 政仁税理士

税理士法人 安心資産税会計
大塚 政仁税理士

 

配偶者居住権 節税に効果的

 不動産相続の節税において有効な二つの特例制度、配偶者居住権と小規模宅地等の特例について基礎的な部分を説明する。

 まずは配偶者居住権の制度。故人の配偶者が、遺された物件に無償で居住することができるというものだ。配偶者が亡くなると配偶者居住権は消滅するため、これが節税に使える理由となる。

 配偶者居住権を使うと、配偶者居住権と所有権の二つに分けて相続できる。例えば、1億円の価値がある自宅を配偶者と子1人で相続する場合、それぞれが5000万円ずつ相続すると、双方が相続税の対象となってしまう。しかし、この制度を利用すると配偶者が相続した分がなくなり、子の5000万円分だけを相続税の対象とすることが可能だ。これが二次相続対策として節税に寄与する。子は5000万円分の相続をしているが、配偶者が亡くなると配偶者居住権は自動的に消滅し、完全な所有権(1億円の価値) に戻る。借地権の場合は買い戻す必要があるが、配偶者居住権であれば消滅し、税金もかからない。

 配偶者居住権を適用するには、故人の配偶者が相続時にその建物に住んでいたことが条件となる。さらに建物の名義も重要で、故人単独の名義か、配偶者との共同名義になっているかのどちらかでないと適用の対象にならない。ほかの人、例えば故人の子などが建物の所有者の名義に入っていると配偶者居住権が設定できないので、このケースで相続が近いと予想される場合は、子の名義の分を生前贈与したり、買い取ったりするという対策が必要だろう。

 もう一つの注意点は、設定した期間の途中で配偶者居住権を放棄してしまうと、土地の所有者に贈与税が発生してしまうということ。また将来的に建て替えや売却を考えているなら、そこにも税金がかかってくるので、配偶者居住権の期限を決めるなどの設定の工夫が必要になる。

登壇した大塚税理士登壇した大塚税理士2

セミナーに登壇した大塚税理士。聴講者は熱心に耳を傾けた

評価額減額に寄与「小規模宅地」の例

 次に、小規模宅地等の特例だ。「一定の要件を満たす宅地の評価額を減額して相続税を軽減する」というもので、配偶者居住権と併用することもできる。小規模宅地等の特例は土地の用途によっていくつかパターンがあり、居住用や事業用などの用途によって面積の制限と税金の減額率が異なる。

 注意しなければならないのは、この特例は遺産分割や遺言などでもらう人が決まっていないと適用できないということ。さらに要件を満たす人が複数いる場合は、誰が何㎡分ずつ相続するか、という同意も必要になってくる。また事後には変更できないという特徴もある。どうしようか迷っているうちに期限が来てしまい、いったん特例なしで申請してしまうと、後から適用する形で出し直すことは原則としてできない。

 これらの特例の適用について、判断が難しい事例を紹介する。まずは、相続人の住民票の住所と、住んでいる場所が違う場合。例えば、月曜から金曜は親がいる実家で暮らして、週末は住民票がある自分の家に戻るといったケース。こういう場合は、客観的な資料で居住実績を証明する。1人と2人では生活費が違ってくるので、水道光熱費を比較したり、宅配便の配達履歴を出して郵便物の受け取り場所を提示したりする必要がある。

 続いて、故人が老人ホームに入居していたというケース。この場合、故人は亡くなる際に家に住んでいないが、2014年より要介護・要支援の認定を受け、公的な介護施設に入所しているのであれば、元の家を居住用として小規模宅地等の特例が使えるようになった。

 世の中、白と黒だけではなく、灰色の部分も多い。不動産の法律も細かいところまでは決めきれない部分があり、特例の使用によって黒や灰だと思えるケースが白になる可能性もあるため、まずは専門家に相談してみることを勧める。

(2026年2月9日12面に掲載)

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