不動産クラウドファンディングに適した制度として注目される不動産特定共同事業法(以下、不特法)について、近年の規制緩和の目玉といえるのが小規模不動産特定共同事業(以下、小規模不特事業)制度の創設です。小規模不特事業には、事業者の内部でファンドを組成する「小規模第1号事業」と、SPCを使ってファンドを組成する「小規模第2号事業」の2つがあります。
規制緩和で地方企業参入促進
■小規模第1号事業
小規模第1号事業は、事業者が自ら投資家から資金を集めて不動産を取得し、その運用・売却により得られた利益を投資家に分配する事業であり、前回の連載で紹介した「第1号事業」の小規模バージョンに当たります。
第1号事業を営むには、最低資本金1億円、監査法人等の監査を受けた直前3期分の財務諸表の提出等の厳しい許可要件が課せられますが、小規模第1号事業では、最低資本金の額は1000万円に引き下げられ、また、直前2期分の財務諸表の提出は要するものの監査は不要とされる等、その登録要件は大幅に緩和され、小規模事業者による参入が容易となっています。
参入要件が緩和された代わりに、小規模第1号事業では一般投資家1人当たりの出資総額の上限は100万円に、1事業者が集めることができる出資合計額の上限は1億円に制限されます。