不動産の買い取り再販事業を手がけるAlbaLink(アルバリンク:東京都江東区)が、TOKYO PRO Market(トウキョウプロマーケット)に上場した。上場日は2023年11月29日。社会的信用力を高め、事業拡大のスピードを上げる。
自社メディアでの集客に強み
買い取り年750件
AlbaLinkは空き家や瑕疵(かし)物件の買い取り再販を手がける。22年12月期の売上高は前期比51.1%増の13億3873万円で、経常利益は182.7%増の1億5555万円だった。年間の物件買い取り件数は750件、年間販売件数は600〜700件に及ぶ。
取り扱った案件のうち、70%が空き家だという。そのほかの30%は土地や、居住用の区分のマンションなど。空き家の買い取り価格は平均で360万円ほどだ。買い取り後はリフォームやリノベーションにコストはかけず、入居が可能な程度のクリーニングなどを行う。主に個人投資家に販売する。グロス利回りは20〜30%程度になるように設定しているという。
東京都江東区の本社のほかに千葉県・茨城県・埼玉県・神奈川県・愛知県に支店を展開。従業員65人で運営している。
PV数221万超え
同社の強みは自社メディアでの集客にある。物件仕入れのための情報収集や投資家の集客を狙いとし、「訳あり物件買取プロ」「訳あり物件買取ナビ」「コーポレートメディア」「不動産投資の森」の4つのメディアを運営している。22年7〜11月までの四サイトの合計PV(ページビュー)数は221万6000PVに上る。
空き家の仕入れに関しては、5〜10年ほど空き家だった物件を相続した子世代が中心だ。
ウェブからの集客が業績向上の要である同社では、検索結果に自社メディアが上位表示されるように、SEO対策を強く意識してサイト構築を行っているという。検索サイトにおいて「空き家 困る」などのキーワードで検索をかけたとき、他社ページよりも優先して表示されるようにサイトを作り込む。
ウェブ集客のノウハウには、河田憲二社長の経歴が生きている。河田社長は24歳ごろに個人事業主としてウェブマーケティングを行っていた。
当時は債務整理の情報提供を行うサイトなどを運営しており、そこに広告を貼り付け、反響件数に応じて報酬を得るアフェリエイトで収入を得ていたという。当時の経験を、現在の自社メディアにおける反響獲得にも生かす。
河田社長の個人事業主時代の知見や、当時河田社長が個人的に注力していた不動産投資の経験を生かすことができるとして、11年に不動産会社を取得。19年にはAlbaLinkへ社名を変更し、本格的に買い取り再販事業を開始した。
同社で取締役を務める行田耕介氏に、流動性の低い不動産を再生するという社会貢献性や事業の将来性を見込まれ、上場を勧められたことが、上場を目指すきっかけとなった。
リアル出店を推進
今後の目標は、東証グロース市場への上場だ。3年以内には実現したい考え。まずTOKYOPRO Marketへ上場することで、東証グロース市場に上場するまでのスピードを速められると考えた。上場に伴い信用力を高め、支店を増やすことで事業拡大の速度もさらに速めていく。河田社長は「実店舗を出店し、顔を合わせて顧客の相談に乗ることで成約率も高まる」と話す。実際、千葉県エリアにおける見積もりからの成約率は、22年の千葉支店の立ち上げにより、21年と比較して、23年は約2倍に上昇した。
年間5店舗ずつ出店し、最終的には、47都道府県に1支店は設けることを目指す。
同社のターゲット層は500万世帯を想定。ニーズは落ち込みづらいとみる。「戸建て賃貸は今後も競争力が高まるだろう。ファミリーだけではなく、DINKSや単身者で広い家に住みたい層のニーズにマッチすると期待できる」(河田社長)
(國吉)
(2024年1月22日20面に掲載)