賃貸管理システム「賃貸革命10」を中心に、業者間流通システムやホームページ制作ソフトを展開する日本情報クリエイト(宮崎県都城市)。2023年6月期の売上高は37億7000万円と前年比23.5%の増収となった。22年度より営業力の強化に向けた積極投資を実施し、営業人員および販売網を拡大。拠点数を30まで増やし、新規開拓と顧客サポートの体制構築をひと段落させた。24年6月期は売上高44億円(前期比16.7%増)、営業利益7億円(同112.3%増)を計画する。
23年9月より代表取締役社長COOに就任した辻村都雄氏は、リクルート(東京都千代田区)が発行する結婚情報誌「ゼクシィ」で事業本部を統括していた経歴を持つ。24年8月に設立30周年を迎える日本情報クリエイトが今後、事業規模の拡大を加速するため、創業者である米津健一代表取締役会長CEOから経営のかじ取りを任された。「当社が30年にわたって蓄積してきた物件情報、家賃相場などの膨大なデータベースに、さまざまな活用可能性を感じている」(辻村社長)
データ活用の模索を進める中で、製品として結実したものの一つが「空室対策ロボ」だ。保有する累計100億件の不動産ビッグデータとAI(人工知能)を掛け合わせ、賃貸住宅の稼働率を高めるために必要な施策をはじき出す。
同じく、ビッグデータを活用し、任意の場所や物件における賃料・空室率を示す指標「CRIX(クリックス)」も公開する。成約賃料を基に、全国の主要な市区や間取り、床面積を指定して、賃料や空室率の推移を可視化。当該エリアにおける不動産開発や空室対策での利用を見込む。
不動産業務の全領域を網羅するプラットフォームを提供
今秋ごろには、22年に経営統合したリアルネットプロ(東京都新宿区)の業者間流通システム「リアプロ」と、日本情報クリエイトの「不動産BB」のシステム統合を予定している。実現すれば業者間流通サイトとして業界最大級の物件量を扱うことになる。「両社のプロダクトを合わせることで価値を高め合い、かつ不動産業務をシームレスにつないでいく」「株価、物価、給料は上がったが賃料は上がっていない。物件の資産価値を上げるための提案が管理会社の本来の役割であり、それを省力化するのが当社の役目。業界のマーケットGDP(市場の規模や価値)を高めていきたい」(辻村社長)
(2024年5月13日12面に掲載)