店舗・オフィス市場に広がり【業界動向 家賃債務保証】
ジェイリース,スターリンク,H.I.F.,グローバルトラストネットワークス,Bridge Life(ブリッジライフ),住宅金融支援機構
商品|2024年06月16日
賃借人の金銭債務を保証し、賃貸物件を借りやすくする役割を担う家賃債務保証会社。新型コロナウイルスの感染拡大以降、事業用不動産における存在感が高まり、外国人へのサービス提供も進むなど、市場の拡大と役割の重みは増している。ここでは業界の動向を探る。
技術活用、審査にも変化
事業用に注力 1.5倍に売上伸長
国土交通省が行った2021年度の「家賃債務保証業者の登録制度に関する実態調査」では、賃貸物件における家賃債務保証の利用率は80%に達している。居住用の保証が飽和状態となる中で、多くの家賃債務保証会社は、事業用保証に目を向ける。
保証大手で東証プライム上場のジェイリース(大分市)は、大型オフィス・大型商業施設における保証の提供を積極的に展開。実際に事業用保証の売上高は、22年3月期の21億5100万円から24年3月期の32億1900万円と、約1.5倍の伸びを見せている。最大手の全保連(沖縄県那覇市)も事業用保証には8500億円の市場規模があると分析し、成長分野として捉える。今後も事業用保証に注力する保証会社が増加するといえるだろう。
AIで審査効率化 精度向上にも期待
新しい動きとして、入居申込時の保証審査にAI(人工知能)を活用する事例が増えつつある。これまでの保証契約内容や支払い状況などのデータを基に、会社独自の基準を加味してAIが審査を行うことで、1件あたりの審査時間を短縮する効果を生んでいる。
事業用不動産の家賃債務保証サービスを専門とするスターリンク(千葉県船橋市)は、与信審査技術の開発・提供を行うH.I.F.(東京都新宿区)と業務提携を締結。2月より、H.I.F.のAI技術を活用した保証審査を行っている。
スターリンクは05年の設立以降、居住用よりも滞納保証のリスクが高い事業用不動産を専門に保証サービスを展開してきた。金融機関出身の社員による精度の高い審査ノウハウを有する点が強みだ。そのノウハウをAIに学習させることで、精度や速度の向上を図っていく。将来的には外部企業への提供も視野に入れる。