北海道、国内留学で高まる寮需要
管理・仲介業|2024年06月20日
自らの興味関心に合った学校選択や、自然あふれる環境での学びを目的に、地元ではない公立高校に国内留学する学生が増えている。そのため学生寮を新設・増築する例も目立ってきた。少子化による学生の減少で、特に過疎地域では魅力ある学校づくりがまちの活性化につながると必死だ。国内留学需要の増加で学生寮のニーズがさらに高まるのか、北海道の事例を基に動向を探る。
過疎地域で増設進む
全室個室の新築
函館市から車で1時間超、路線バスでは3時間近くかかる場所にある福島町。4月、同町内の北海道福島商業高等学校では道外出身者11人を含む29人の入学者を迎えた。2023年度の入学者9人から3倍超増加した。
入学者が一気に増えた理由について、同町教育委員会の小野寺則之教育長は「寮が新築であることと、しっかりした管理体制が評価されたのでは」と話す。
同町は、道内外からの学生の受け入れ態勢を整えるため、23年2月に同高の学生寮を兼ねた福島町青少年交流センター「新潮(にいじお)学舎」を開設した。男女別棟の木造2階建てで、エアコンやWi-Fiを完備した個室24室と、町を訪れた人のためのゲストルーム4室を備えた。今春入学した学生のうち21人が入寮を希望したため、個室はすでに満室。ゲストルームの一部を使って入寮生の受け入れに対応している。寮費は食費のみで月額3万円。別途、家賃の3万円は町が負担している。
居室は、全室個室だ
25年度以降の入学者を見越して、町はさらに個室27室を備えた建物を増築する。24年6月に着工し、来年度の入学者を迎えるまでに竣工する予定だ。また、同校の生徒が卒業後に町内の企業へ就職するために移住・定住する場合は、将来的には個室の最大6室を3年程度利用できるようにする。町の発展のため、次の段階も見据える。
現在、寮の運営は同町教育委員会が担い、清掃と食事の提供は給食事業などを展開するシダックス(東京都渋谷区)に委託。増築により管理・運営・入寮生募集などの外部委託を検討中だ。