2割が飼育禁止で断念
近年、ペット飼育の増加に伴いペット共生社会への意識が高まっています。それと共にペット飼育可能物件(以下、ペット可物件)への需要も急速に高まっています。しかし、ペット可物件の数や種類は限られており、多くのペットオーナーが住まいの選択肢に制限を感じているのが現状です。
本連載では、ペット可物件市場の「現状」と「課題」、「ペット可物件ビジネスの成功につながるヒント」、そして「未来への展望」について、四つの視点から深く掘り下げていきます。
犬猫飼育者、2割弱 家族の一員扱い
一般社団法人ペットフード協会(東京都千代田区)の「令和5年 全国犬猫飼育実態調査」によると、2023年の全国の犬猫の飼育頭数と世帯別飼育率は、犬が約684万頭で全世帯の約9.1%、猫が約906万頭で全世帯の約8.7%となっており、最大で約1590万頭の犬猫を全世帯の約17.8%が飼育していることになります。これは23年4月1日時点での全国の未成年人口である1435万人を大幅に上回る数字で、およそ5世帯に1世帯近くが犬猫などのペットを飼育している計算です。
子育てをしている家族の数以上に、ペットと一緒に暮らしている家族が多いことは、ペット可物件の需要について考えるうえでとても重要な知識と言えるでしょう。また、今やペットオーナーにとってのペットは単なる愛玩動物ではなく、大事な「家族の一員」であるという認識が社会的にも浸透しており、人とペットが互いに尊重し合い快適に暮らせる社会である「ペット共生社会」の実現が求められています。