自治体、 事業者との連携広がる
滋賀銀、5億円融資
増え続ける空き家の利活用が課題となる中、信販大手のオリエントコーポレーション(以下、オリコ:東京都千代田区)が提供する、空き家向けローンの利用実績が堅調だ。オリコは2023年3月、空き家の所有者と事業者をつなぐサービス「アキカツナビ」を展開する空き家活用(東京都港区)と業務提携契約を締結。空き家の購入やリフォームに利用できるローン商品「アキカツローン」を、地域の金融機関を通して展開している。
アキカツローンは、空き家の購入やリフォーム、解体など、空き家に関わる資金需要に対応する無担保消費性ローンだ。地域の金融機関がローンを提供し、オリコが保証を担うスキームで、最大1000万円を最長15年の融資期間で貸し出す。
空き家の所有者と購入検討者をマッチングするアキカツナビ上に、ローンの申し込みページへの導線を実装。月々のローン返済額の確認や申し込み手続きが円滑に行えるようにして、商品の周知と利用促進を図っている。
取り扱い金融機関は24年6月末時点で6行。提供開始から同時点までに約500件の申し込みを受け付けている。高年収のサラリーマンや公務員が、セカンドハウスとして空き家を購入する際の資金に充てるケースが多いという。最も融資実績の多い滋賀銀行(滋賀県大津市)では、3月末までに約120件、合計4億9000万円の融資を実行した。
オリコ金融法人部門の櫻井徹金融法人営業推進部長は「まずは空き家でもローンが組めることを多くの人に知ってほしい」と話す。
エアビーと提携
空き家が増え続けている問題の根幹には複数の要因が存在する。中でも、小規模の物件が多く、得られる収益が低いため取り扱う事業者が少ないことや、空き家所有者が売却や解体などの意思決定をするのに時間がかかることなどが流通を阻んでいることが大きい。資金の面では、物件の老朽化により担保価値の出ない物件に、金融機関が融資しにくいことも課題だった。
地方銀行や信用金庫の無担保ローン審査・保証を得意とするオリコが、アキカツローンを開発した背景はそこにある。金融サービスを通じて地域の金融機関と地方自治体を結ぶ仕組みの構築を模索する中、自治体の課題解決に強い空き家活用とビジョンが重なり、提携につながった。地方創生に欠かせない「関係人口の増加」を視野に入れ、空き家の流通を地元の不動産会社やリフォーム会社などと連携して進める考えだ。
オリコと空き家活用は、3月に宿泊予約プラットフォームであるAirbnb(エアビーアンドビ―、アメリカ・カリフォルニア州)の日本法人、Airbnb Japan(東京都新宿区)と業務提携契約を締結。ホームシェアリングによる運用を目的とした空き家購入やリフォームにも「ホームシェアリングローン」の名称でローンを提供していく。
具体的には、事業性資金として民泊事業のニーズに対応することを想定し、法人・個人向けローンを地域の金融機関を通して提供する。アキカツローン同様、アキカツナビ経由で送客していく。
昨今の働き方の多様化や、働きながら休暇を取るワーケーションの普及により、ホームシェアリングの需要拡大が見込まれる。空き家をホームシェアリングに活用しやすくすることで、さらなる流通促進を図る。物件情報はAirbnbのプラットフォームにも掲載されるため、観光振興への効果も期待できる。
地方創成も視野に
オリコは、資金調達から実際の利活用に至るまでのバリューチェーンを重層化するため、多様な事業者との連携も進める。
取り組みの一つが、工務店ネットワークを有するCOSOJI(コソージ:東京都中央区)との商品開発だ。5月より「COSOJIローン」の名称で、リフォームや修繕工事を目的にした融資を、COSOJIが展開するプラットフォーム上で申し込みできるようにした。
空き家活用を通じた地方自治体との連携は50を超え、1年で30以上増えた。今後も自治体および金融機関、地元事業者やプラットフォーム運営事業者などとの連携を広げ、地方創成も見据えながら空き家問題に取り組む。「空き家の利活用への取り組みを点から面へ、川上から川下へと広げていきたい」(櫻井部長)
(2024年8月12日8面に掲載)




