ペット用設備、初ランクイン
本調査は、9月10〜20日まで、インターネットとファクスで全国の不動産会社を対象にアンケート調査を行い、520社から回答を得た。
この記事では、周辺相場より賃料が高くても入居が決まる「家賃アップ編」を、単身者向け、ファミリー向けにランキング形式で紹介。不動産会社に詳細を聞いた。
ネット無料が首位を独走 10年間単身者向け1位
インターネット無料(単身者・ファミリー1位)
学生需要高く
「この設備があれば周辺相場より家賃が高くても決まるランキング(以下、家賃が上がる設備ランキング)」では、「インターネット無料」が今年も1位を独走。単身者向けでは、237票を獲得した。
栃木県内に7店舗を展開するエステート住宅産業(栃木県宇都宮市)では、無料インターネットは特に学生からの需要が高いという。管理事業部の田中陽一郎部長は「最後の決め手になるケースが多いため、当社でも無料インターネットの導入を進めている」と話す。あるファミリー向けの3LDKの物件では、無料インターネットの導入前は賃料5万5000円で募集していたが、導入後6万円にアップし、満室になった事例もある。「賃料アップの効果でいえば、単身者向けではなくファミリー向けの物件で効果が高い印象」(田中部長)
神奈川県横浜市で賃貸管理・仲介を行う青木ハウジング(神奈川県横浜市)もファミリー向け物件にネット無料を導入することで、賃料を高く設定できている。特に20代からの要望が多い。
青木博昭社長は「ほかにも必要な要素はあるが、家賃の1~2割程度の価値を、インターネット無料が担保している」と話す。インフラ設備として不動産会社側がそろえなければならないと考えている。
宅配ボックス(単身者2位・ファミリー4位)
共働き世帯の需要
「宅配ボックス」は、単身者・ファミリー共に前回からランクアップ。単身者向けでは前回4位から2位に、ファミリー向けでは5位から4位となった。
6700戸を管理する北澤商事(東京都足立区)は、単身者向け、ファミリー向け共に宅配ボックスを挙げた。「21〜22年ごろから急速に需要が増加している印象」(業務推進室・髙橋克成室長)。同社ではマンションタイプの新築物件を中心に管理物件への宅配ボックス設置を進める。宅配ボックスのある物件は、更新の際に家賃の値上げ交渉に承諾してもらいやすい傾向だという。「ファミリー向けの新築マンションではもはや必須設備」(髙橋室長)
福島県須賀川市で賃貸管理・仲介を行う瑞穂不動産(福島県須賀川市)からは、日中家を留守にすることが多い20〜40代の共働き世帯の需要が高いという声が挙がった。同社が管理する1LDK以上の物件の相場家賃は5万円ほど。だが、宅配ボックスを導入することで5万円強と数千円賃料を高く設定することができるようになるという。
エントランスのオートロック(単身者3位・ファミリー2位)
導入で5000円増も
前回に引き続き、ファミリー向けで2位となったのが、「エントランスのオートロック」設備だ。
岡山市を商圏に約5000戸を管理するつばめ不動産(岡山市)3課の虫明純一朗課長は「エントランスにオートロックを導入することで賃料を5000円程度高く設定することが可能。インターネット無料では3000円程度なので、より高くできる」と話す。
同社が新規で管理受託する物件は築35年以上が多く、周辺の競合物件との差別化を図るために、積極的に設備のバリューアップを進める。当初はオーナーも資金に余裕がないこともあり、手頃な価格で導入しやすい宅配ボックスや無料インターネットから導入。入居が増え、オーナーの手元資金に余裕が出てきた頃に、エントランスへのオートロックの導入を提案しているという。