ビットキー/パレットクラウド、入居者の利便性を最大化

ビットキー,パレットクラウド

インタビュー|2024年11月12日

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パレットクラウド 東京都渋谷区 城野公臣 社長(44) ビットキー 東京都中央区 寳槻昌則 社長(39)

 スマートロックの開発を行うビットキー(東京都中央区)は、入居者向けアプリを提供するパレットクラウド(東京都渋谷区)を7月に子会社化した。ビットキーが手がける「homehub(ホームハブ)」とパレットクラウドが提供する「パレット管理」を統合することで、入居者の利便性向上を目指す。ビットキーの寳槻(ほうつき)昌則社長とパレットクラウドの城野公臣社長に話を聞いた。

25年中にアプリ統合目指す

子会社化、検討5年

――今回、パレットクラウドを子会社化した理由を教えてください。

 寳槻 当社のhomehubは、スマートロックを中心に基幹システムや内見予約システムなどさまざまなサービスをつなげるハブとなるプラットフォームです。一方パレットクラウドのパレット管理は入居者から管理会社に対する問い合わせへの対応や、契約の更新などをすることができます。これらのアプリが一つになることで、住まいに関する多くのことが一つのアプリで完結し、入居者の利便性が向上します。また管理会社にとっては一つのシステムで管理できることが多くなり、業務効率化に寄与できるという思いから子会社化に至りました。

――子会社化については、いつ頃から検討していたのですか。

 寳槻 初めて両社の連携の話が持ち上がったのは2019年。お互いの顧客から「homehubとパレット管理が統合したら便利なのではないか」という声があったのがきっかけです。

――子会社化にあたり課題はありましたか。

 寳槻 いかにスピード感を持ってアプリの統合を行うかでした。当時は技術的に両社のアプリの統合が難しく、具体的な話に至りませんでした。子会社化の話が進んだのはここ1年です。

 城野 グループ入りするにあたり企業文化や価値観が合うかを重視していました。アプリは手段で、その先にある利用者のより良い暮らしの実現に寄与したいという思いが同じであることから、安心してグループ入りすることができました。

パレットクラウドの画面

パレットクラウドの入居者向けアプリパレットクラウドの画面

――両社のサービスはすでに多くの管理会社に利用されていますが、それぞれの利用企業について教えてください。

 寳槻 東急不動産(東京都渋谷区)や穴吹ハウジングサービス(香川県高松市)など、管理業務の効率化やセキュリティーの向上を目指す管理会社にご利用いただいています。特にすでに賃貸管理システムや内見予約システムを利用している会社は、連携可能という点でhomehubを選んでいただくケースが多いです。

 城野 中小規模の管理会社から大手管理会社まで幅広くご利用いただいています。管理戸数が多いほど入居者管理に関する業務の負荷が高いため、木下の賃貸(東京都新宿区)をはじめ、管理戸数の多い大手管理会社の利用が特に多いです。

――両アプリを併用している管理会社はあるのでしょうか。また今後の利用の広がりについてはどのようにみていますか。

 城野 大手管理会社を中心に5社ご利用いただいています。

 寳槻 以前から両アプリの統合を希望していた管理会社からは、管理会社の活用の幅の広がりや入居者の利便性向上を期待していただいています。

管理会社をDX化

――アプリを統合した際の管理会社のメリットは何ですか。

 城野 アプリの導入において、管理会社にとって一番のハードルは入居者にいかにしてアプリをダウンロードしてもらうかです。その点、アプリに日常的に利用する鍵管理の機能が付いているため、必ずダウンロードしてもらえます。

 寳槻 入居者アプリは主に入居中の管理業務のDX(デジタルトランスフォーメーション)を推進するものです。二つのアプリが統合されると、内見時や原状回復工事の際にデジタルキーを発行し鍵の受け渡しをなくすなど、入居期間中だけでなく、空室期間のDX化も可能になります。

――アプリを統合した際の入居者のメリットは何ですか。

 寳槻 鍵の開閉や管理会社からの通知の確認、管理会社への問い合わせなどが一つのアプリでできるようになります。将来的には、帰宅したタイミングで翌日のごみ出しの情報を通知するなど、入居者にとって最適なタイミングで通知を行うことも可能です。

――これまでも両社は多くの企業やアプリとサービスの連携を行ってきました。これらの提携先との関係は今回の子会社化によって変化しますか。

 寳槻 例えば、ビットキーは入居者向けアプリ「totono(トトノ)」を提供するスマサポ(東京都中央区)とも業務提携しています。どれかを選ぶとどれかを選べないというサービスはユーザーファーストではありません。今後もさまざまなサービスと連携していくという姿勢は変わりません。

 城野 顧客のニーズに合わせて、今後も各サービスとの連携を行っていきます。

homehub

スマートロックの開閉ができるビットキーのアプリhomehub

日常使いアプリに

――今後の方向性を教えてください。

 寳槻 まずは25年中のhomehubとパレット管理の統合を目指しています。鍵管理と入居者向けアプリ、この二つが融合することで毎日使われるアプリになることを目指します。

――両アプリを統合した後に描いている構想を教えてください。

 城野 管理会社は今、管理業務で手いっぱいだと思います。やりたいことはあるけれど、リソースが割けず断念する管理会社をたくさん見てきました。管理業務を効率化し、その先にある入居者や家主へのサービス提供に注力できる体制づくりをサポートしたいです。

 寳槻 アプリの統合はインフラの整備にすぎません。入居者がさらに安心で便利な生活を追求できるようサービスを拡充します。例えば、デリバリーサービスのように簡単に子育て支援が受けられるなど、入居者の生活をアップデートできるサービスを目指していきたいです。


(2024年11月11日7面に掲載)

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