25件認定、ZEH超えの高断熱
賃貸住宅の建築・管理を行うアーキテクト・ディベロッパー(東京都中央区)は、高性能の賃貸住宅の開発・建築を推進する。9月には、東京都が独自に認定する「東京ゼロエミ(以下、ゼロエミ)住宅」の認定を受けた賃貸物件の第1弾を竣工。今回の物件以外にも25件のゼロエミ住宅の認定を受けている。
同社初のゼロエミ賃貸は、東京都葛飾区に所在する「リブリ・青砥」。全19戸で、間取りはワンルームと1LDK。専有面積は27.32~40.73㎡。同認定により、戸あたり170万円の補助金が支給される。9月10日から入居募集を開始。10月24日時点で19戸中12戸が成約済みだ。
物件の特徴は、ゼロエミ住宅の中でも、旧基準における最高の水準3を満たしていることだ。
商品設計を見直し、建材の工夫や省エネ設備の導入により、断熱性能を高めた。同社の賃貸住宅商品は鉄骨造がメインだ。鉄骨造の場合、木造やRC造と比べて熱伝導率が高く、構造上外気の響を受けやすくなる。
そのため熱を伝えやすい部分である熱橋部の鉄部を断熱材にて遮断。熱橋部から室内への熱移動を抑えるようにした。外壁部の壁厚をでき得る限り薄くし、内部の専有空間を広くとることに留意した。
設備についても、エアコン、給湯器、節水水栓など、省エネ性能が高く、なおかつコストが抑えられる商品を採用した。
建築本部の佐藤紀一本部長は「北海道の新築住宅と同等の断熱基準をクリアする水準で開発することができた。ゼロエミ住宅の新基準の最高水準Aにも対応できる商品化の準備ができた」と話す。
ゼロエミ住宅は、10月1日から基準が変わり、水準1~3から、水準A~Cに変更になった。新基準の水準Aは、旧基準の水準3よりもさらに高い住宅性能要件で、UA0.35以下、省エネルギー基準からの削減率を40%以上とする。
地主に対し、建築提案を進めるにあたって、都内であればZEH(ゼロ・エネルギー・ハウス)基準の断熱性能を上回るゼロエミ住宅認証を受けられることを伝えている。これによりオーナー側の選択肢の幅を広げ、他社との差別化を図る。
開発・建築する賃貸住宅のうち、2024年度竣工分は65%、25年度竣工分は86%が、ゼロエミ住宅も含め、ZEH-MOriennted(ゼッチマンションオリエンテッド)以上の基準を満たす想定で進める。
今後は入居者へのヒアリングなどで、ゼロエミ住宅を含めた同社の環境配慮物件の光熱費抑制効果について情報を集めていく予定だ。
(2024年11月18日1面に掲載)