太陽光発電システム搭載も
賃貸住宅の建築・管理を行うアーキテクト・ディベロッパー(東京都中央区)は、ZEH(ゼロ・エネルギー・ハウス)-M仕様の賃貸住宅の建築に注力する。2025年6月期に竣工する物件の64%、26年6月期竣工の86%をZEH-M Oriented(ゼッチ・マンション・オリエンテッド)以上の基準にしていきたいとする。
同社初となる、ZEH-M Ready(レディ)の基準を満たす賃貸住宅を1月に完成した。JR京葉線検見川浜駅から徒歩14分の場所に立地する3階建て鉄骨造全15戸の物件で、全戸が成約済みだ。
断熱性能を高め、太陽光発電システムを搭載。共用部を含む棟全体で、基準一次エネルギー消費量から、50~75%未満の消費エネルギーを削減する。住棟と全住戸で建築物省エネルギー性能表示制度「BELS(ベルス)」の最高位の五つ星を取得した。
オーナー、入居者双方にとってのメリットも見込む。太陽光発電システムでの発電分の一部は、物件内の共用部の電力として自己消費した後、余剰分を売電。そのため、オーナーは売電による収益を得ることで、運営コストを抑えるというメリットがあるという。
入居者に対しては、災害時の安心感を提供できるとする。パワーコンディショナー横のボックス内に非常用コンセントを設置。停電時でも太陽光発電システムで発電している時間帯に、共用部で携帯電話の充電などを行うことができる。
同社は、環境に配慮した賃貸住宅づくりのために、建物性能のグレードを高めた商品開発を進めてきた。建築本部設計開発部商品開発課の担当者は「当社が開発・建築する物件は単身者向け住戸が多く、断熱性能の向上だけではファミリー向けの住戸に比べて、省エネ性能を向上させにくい。そのため、節湯型のキッチン・洗面・ユニットバスに加え、高性能のエアコンを4月着工物件より追加で採用。断熱と設備の性能を並行して高めてきた」と話す。
外皮性能と一次エネルギー性能でZEH-M基準の最低値を大きく超える、東京都が定めた23年「東京ゼロエミ住宅」の水準3を満たす、賃貸住宅の認証書「東京ゼロエミ住宅設計確認書」を6棟取得している(3月末時点)。
(2024年4月15日2面に掲載)