西田コーポレーション(神奈川県厚木市)は、原状回復費用を平準化する共済制度を事業化したKENT(ケント)共済協同組合(以下、KENT共済:同)を設立。西田光孝社長は共済制度や、地域の再開発など、同業者に対するノウハウの提供にも意欲的だ。
KENT共済の設立に結実
バブル崩壊で管理業へ
西田コーポレーションは1990年のバブル崩壊期に、売買中心の事業モデルから賃貸管理事業への事業転換を図った。当時、賃貸管理事業の経験がなかった西田社長は、賃貸管理事業で実績を伸ばし始めていたハウジング恒産(現・KACHIAL)の清水新一社長、東都の須網稔社長を訪ね、教えを請うた。これをきっかけに、神奈川県内を中心に賃貸管理事業に真剣に取り組む不動産会社とのつながりをつくった。
原復トラブルをなくす
地域の同業者との協力関係が深まる中で、共通の問題意識から組織されたのが、原状回復費用を平準化する共済制度を商品化したKENT共済だ。KENT共済は2015年に神奈川県の認可団体として設立。神奈川県内の不動産会社7社が参加し、代表を西田社長が務める。入居者とオーナーが毎月家賃の5%程度(家賃相場によって変動あり)を支払うことで、退去時に原状回復費用が共済から支払われる仕組みを整えた。さらに、共済掛け金は経費計上ができるためオーナーにとって節税効果があるのもメリットだ。
設立の背景には、入居者とオーナーの間で、原状回復費用をどちらが負担するか、トラブルが多発する状況がある。間に立つ管理会社の業務負担も大きく、トラブルそのものをなくす仕組みとして、共済制度が構想された。20年には、退去時に3万円未満の小修繕費用も支払われるオプションプランを商品化。オペレーションの手軽さから注目を集めた。入居者が安心できる住生活の提供と、オーナーの安定した賃貸経営を支える体制を整えた。