賃貸住宅の共用部やビルの清掃事業を展開するアクア(東京都新宿区) は、フランチャイズチェーン(FC)事業で売り上げ40億円近くにまで伸長。「清掃の質」への強いこだわりで差別化を図る。
売上前期比120% 加盟者400人に成長
―清掃事業をFC展開されています。
当社は技術の要る機械を使用しない「日常清掃」の領域で、清掃員の派遣ではなく事業主を育成するFCを展開しています。「Build's(ビルズ)」のブランド名で、加盟者は11月末時点で400人となりました。19期となった2024年10月期の売り上げは39億円。ここ5年間は、前期比120%前後の成長で推移しています。売り上げに占める事業構成比は、FC事業のビルズが8割と主力です。同売り上げにはFC加盟者の清掃売り上げを含みます。その他の事業として、ビルズの顧客である不動産会社向けに、原状回復工事、賃貸仲介の付帯サービスとしてインターネットや新電力、コールセンターの取り次ぎサービスも提供しています。
―FC加盟者は増加しているのでしょうか。
ビルズは14年にFC展開を開始し、10年目を迎えました。個人事業主の加盟をメインに、20年からは年間平均60人ペースで増加しています。加盟にかかる初期費用の特徴は、内訳に顧客の紹介料が含まれていることです。本部である当社が顧客開拓の営業を代行することで、加盟者は初月からクライアントを持った状態で事業をスタートさせることができます。クライアントとの契約期間は基本年間です。設定する月間売り上げが高いほど、紹介料が発生するため初期費用が変動する仕組みです。FC加盟者の年間売り上げの平均は、800万〜1000万円です。
―加盟者が初月から一定の売り上げを確保できるビジネスモデルですね。展開エリアは?
1都3県(東京、神奈川、埼玉、千葉)です。対象としているのは賃貸住宅の共用部やオフィスビルなど。売り上げで見ると48%が賃貸住宅の清掃です。物件数にすると全体の約64%にあたる6000棟に上ります。クライアント数では不動産会社が600社と全体の12%を占めます。
品質担保に強み 顧客は5000社到達
―日常清掃業界における、ビルズの強みとは。
清掃の質です。まずはFCというビジネスモデルが質に寄与しています。日常清掃は、1件あたり1〜2時間で完了する短時間労働の業務です。そのため件数をこなさなければ収入を安定させることが難しく、正社員を雇用しにくい業種でもあります。結果的に、短時間労働が可能なアルバイトスタッフが多いうえ、人材不足という課題も抱えているため、労働意欲を担保することが難しいです。事業の成功を目指す個人事業主が清掃にあたるビルズは、仕事に対するモチベーションにおいて根本的な違いがあります。