事前契約で残置物処理に対応
神奈川県厚木市を中心に6500戸を管理する西田コーポレーション(神奈川県厚木市)は、高齢者の受け入れ体制の構築を推進する。新たに、見守りサービスと賃貸借契約の解除に関する委任契約をセットにしたパッケージを展開。オーナーの高齢入居者受け入れに対する不安とリスクの軽減を図る。
パッケージ商品は大きく二つからなる。一つ目は見守りサービスだ。ビーマップ(東京都千代田区)が提供する見守りサービス「おうちモニタ」を活用。電気使用データを解析し、AI(人工知能)により入居者をモニタリングする。具体的には、入居者ごとに通常時の電気使用量を、通信機能を備えた電力メーターであるスマートメーターを通じて把握。異常が検出された場合には本人や家族、管理会社へと段階的に通知を送る仕組みだ。一番の利点は、追加の機器や通信環境の整備を必要としないこと。これにより、オーナーや管理会社、入居者の負担は最小限に抑えつつ、効果的に入居者を見守ることができる。
二つ目は賃貸借契約の解除に関する委任契約と家賃債務保証会社との連携だ。通常、入居者が死亡した場合、賃貸借契約は終了せず、勝手に残置物を処分することはできない。そこで、賃貸借契約の解除に関する委任契約を活用する。入居時に締結された事前の契約に基づき、受任者である管理会社が賃貸借契約の解約や残置物の処理を行うことができる。
残置物は家賃債務保証会社が内容物をリスト化したうえで保管する。部屋から速やかに残置物を撤去し、次の入居者募集へスムーズに移行できる仕組みとなっている。ただし、一定の調査のもと行う。
西田コーポレーションの取り組みの背景には、高齢化社会における居住問題がある。これまで高齢者が入居を断られる理由の一つとして、孤独死や残置物処理のリスクへの懸念が挙げられる。こうした課題に対し、オーナーが安心して貸せる仕組みを整備し、高齢者受け入れのハードルを下げる。
同社が管理する物件のうち、高齢者の受け入れが可能なものは約6割に達している。筒井明義執行役員は「一連の流れをパッケージ化し普及させることで、今後さらに対応可能な物件の拡大を目指す」と話す。
西田コーポレーション
神奈川県厚木市
筒井明義執行役員(39)
(2025年1月20日2面に掲載)