補助金予算2250億円、賃貸も対象
国土交通省住宅局は、「子育てグリーン住宅支援事業」として2024年度補正予算案に2250億円を計上し、補助対象に新たに賃貸住宅を追加した。ZEH(ゼロ・エネルギー・ハウス)を超える住宅の省エネ化と子育て世帯向けの住宅供給を強化する。同事業の概要と、賃貸住宅を補助対象に加えた狙いについて楠田幹人住宅局長へ取材した。
子育て世帯向け物件、建築支援
50年に脱炭素化 平均値で達成へ
―24年度の補助金事業、子育てグリーン住宅支援事業の対象に賃貸住宅が加わりました。
ZEH水準に対応する住宅の裾野を拡大する目的があります。住宅着工数約80万戸(23年度時点)のうち、4割を占める賃貸住宅を補助対象に追加することで政策を強化します。賃貸住宅は、注文住宅、分譲住宅と比較すると、着工数が最も多いですが、ZEH水準適合率は最も低いのが現状です(図2参照)
―賃貸住宅を補助対象に加えた先に目指すものは。
子育てグリーン住宅支援事業は、50年までに国内における温室効果ガスの排出量を実質ゼロにするという、カーボンニュートラルの実現を目的としたものです。その前段階として30年度には、住宅の適合すべき基準をZEH水準へ引き上げることを目指します。一方で、約5400万戸ある住宅ストックをすべてZEH基準に入れ替えていくことは現実的ではない。そのため、置き換えられるものをZEHやそれ以上の省エネ水準を満たす「GX(グリーントランスフォーメーション)志向型住宅」=※=に更新していくことで、「ストック平均」でのZEH水準を目指します。
新築・既築が対象 1戸最大160万円
―新築と既存住宅の両方が補助対象です。供給を推進する比重の違いはありますか。
どちらかの推進を強化するような比重の違いはありません。対象の住宅は24年11月22日以降に、新築であれば基礎工事以降の工程、既存住宅はリフォーム工事に着手したものとします。補助額は、新築が1戸あたり最大160万円、既存住宅のリフォームは同60万円です。特に新築の最大補助額を160万円としたGX志向型住宅は、半額相当の補助率に設定しました。大手ハウスメーカーを対象にアンケート調査を実施し、同住宅の1戸あたりの建築費は、かかり増し費用で約320万円であると算出しています。