東京都は、省エネ性能において一定の基準を満たした住宅を認証する制度「東京ゼロエミ住宅」の普及に本腰を入れる。10月から新たな基準を設け、集合住宅では、1戸あたり最大200万円を助成。賃貸も含め、住宅の環境性能の底上げを図る。
集合住宅で1戸最大200万円
予算25億円に増額
都が力を入れる東京ゼロエミ住宅は、高断熱の断熱材や窓を用いるなど、一定の環境性能の基準を満たした住宅を都が認証する独自の制度。認証後、建築主に対して環境性能のレベルに応じた助成金を交付する。助成金により、環境性能の高い新築住宅の建設費用が抑えられる。賃貸住宅も対象だ。
東京ゼロエミ住宅の建築件数は、年々増えている。同住宅の設計確認件数は、制度を開始した2019年度が817件、22年度は4601件と開始時から5倍以上に増えた。
同制度に係る予算額も毎年度増やしてきた。当初予算額について、19年度は18億900万円でスタートしてから徐々に増額。24年度は250億7200万円と、開始時の13倍超となった(グラフ参照)
東京都環境局気候変動対策部事業支援担当の鮫嶋俊二課長は「制度開始後1〜3年目は予算枠を超える申請があり抽選となった。4年目以降は十分な予算を要求している。今後も余裕のある予算額を要求するつもりだ」と話す。
都内は地価が高額で狭小地が多いことや、斜線制限に伴う屋根形状などにより、太陽光発電システムなどの再生可能エネルギー設備が設置しづらい。そのため、環境性能向上への取り組みが進みにくいのが課題だった。同制度の活用により、都内住宅の環境性能の底上げを進める。
高性能な建材や設備の低価格化を促し、環境性能の高い住宅がさらに普及する好循環を生み出したい考えだ。