法改正で進む居住支援【高齢者受け入れ どう変わる!?】

R65,エルズサポート

賃貸経営|2025年02月26日

見守り、保証の重要性増す

 高齢者をはじめとした住宅確保要配慮者の居住支援に向けて、今年10月にも住宅セーフティネット改正法が施行される。そんな中、高齢者の部屋探しを支援するR65(東京都港区)と、家賃債務保証事業を手がけるエルズサポート(東京都中野区)は提携し、受け入れリスクの抑制に取り組んでいく。R65の山本遼社長とエルズサポートの関内雅仁執行役員に、高齢者受け入れを取り巻く現状と課題を聞いた。

現入居者も高齢化

ーまずは両社それぞれの設立経緯と事業内容について教えてください。

山本:起業前は賃貸管理会社に勤めていたのですが、その会社は高齢者の受け入れにネガティブでした。地場大手と言える規模の会社でしたが、そのくらいの会社でさえ受け入れに消極的だったことから、高齢化は将来的に大変な社会問題になると思い起業したのが15年(会社設立は16年)です。65歳以上の入居希望者を対象にした賃貸仲介事業からスタートし、現在は65歳以上の人が住める物件情報の配信を中心に、孤独死保険や駆け付けサービスなどの付帯商品の販売も行っています。

関内:当社は、親会社となるホームネット(同)が高齢者向けのサービスを提供してきたことがきっかけで生まれた会社です。ホームネットが見守りや定期巡回、訪問介護など高齢化社会を見据えたサービスを展開する中、連帯保証人を立てられない高齢入居者が増え始めました。それを受けて、当社代表の藤田潔が「民間事業で補う仕組みをつくらないと高齢者が入居できなくなる」との危機感を持って保証事業をスタートし、後に当社を子会社化。保証事業も吸収分割したという経緯を持っています。

ー高齢入居者向けにどのような商品を用意していますか。

山本:ポータルサイト事業の掲載物件数は年平均で4000件程度で、約40社が利用しています。24年8月には電力データを活用した見守りサービスの提供を開始しました。スマートメーターが付いている物件であれば地域によらず簡単に導入できるもので、販売パートナーは25年1月末時点で50社を超えました。

関内:自動音声による安否確認コールを週2回行うサービスを、保証に付帯しています。また、ホームネットが提供する、電球の使用状況から入居者を見守る商品も提供しています。そのほか、中部電力ミライズコネクト(愛知県名古屋市)との提携や、今回のR65社との提携で、電力データを活用した見守りサービスも加え多様なニーズに対応できるように準備を進めています。

山本:当社では現在、見守りサービスの販売に注力しています。というのも、管理物件に住んでいる入居者が高齢化してきたことに対して、危機感を持っている管理会社が増えたためです。高齢者の受け入れは空室対策の文脈でも大切ですが、今住んでいる方の事故リスクをどう抑えるか。そこへの対応に注力しています。

関内:物件の老朽化と入居者の高齢化が同時進行していく中で、更新のタイミングで見守りサービスを導入しよう、65歳以上は断っていたけど75歳まで受け入れてみようといった話を管理会社から聞く機会も増えました。

山本:法整備に関しては、起業当初は事故物件や心理的瑕疵(かし)の定義がなかったり、身寄りのない人が亡くなった際の残置物処理の方法が曖昧だったりといった問題がありましたが、ここ数年で課題の洗い出しと、整備すべき部分の整理が進んだ印象です。

関内::管理会社が求める商品ニーズと、高齢者を受け入れるための商品ニーズが異なる点が、サービスの普及への課題になっています。高齢者を受け入れたいオーナーは多くいますが、管理会社にその体制がない。今回の法改正でこの格差を埋めていくのが現在の地点だと思っています。

商品開発で連携

ー今回の提携の意義について教えてください。

山本:「高齢者イコール滞納」と捉えられがちですが、実際は若年層の入居者と比べても多くないというデータがあります。それでも滞納リスクを保証会社に担っていただくことによる安心感を提供できる点で、エルズサポートとの提携は大きな意義があります。

関内:保証の面では、亡くなった際に退去手続き・精算ができない単身高齢者の債務が発生するケースが多いのが実態です。請求できる相手がおらず、保証会社としては貸し倒れとならざるを得ない部分もあったりします。これはオーナーの悩みにも通じていて、原状回復費用が保証されないリスクがあるが故に、受け入れに否定的な目線になってしまっている。だからこそ見守りサービスや死亡保険を付けてハードルを下げるといった考えが重要です。R65とはそのような情報発信や商品開発で連携していきたいと思っています。

ー改正法について、整備は進んでいるものの課題も残っています。

関内:私の視点で今回の法改正におけるポイントを三つ挙げると、一つ目は、国交省だけではなく、厚生労働省もしっかり踏み込んで省庁連携で進めましょうと明記された点です。これまで住まいに関しては国交省、福祉に関しては厚労省の管轄でしたが、両省の連携により、地域における総合的・包括的な居住支援体制の整備が進むことが期待できます。二つ目が居住サポート住宅の創設です。見守りサービスや、居住支援法人などによる入居後のサポートを付けることで認定し、受け皿となる住宅の供給が進んでいきます。そして、居住サポート住宅に入居する人への保証ということで、国から認定された保証会社が原則保証を引き受けるというのが三つ目のポイントです。これらがかみ合っていけば受け入れは進むと思いますが、不明確な部分もまだ残っているので、各事業団体が声を上げながらよりよい形をつくっていく必要があると思います。

法改正3つのポイント

山本:残置物の処分の仕方や身寄りのない人の受け入れなどは、より具体的に詰めていく必要がありそうです。また、入居者が認知症を発症したときの対応について相談を受けるケースも増えています。

関内:まさに保証会社が大変な思いをしているのは認知症になった人への対応や督促です。居住支援というと、そこに住まわせるのが議論の中心になりがちですが、入居者を最後まで見届けるための仕組みづくりを民間企業でどこまでやれるかというのが、今後の勝負どころだと思っています。

 

R65 山本遼社長

R65
東京都港区
山本遼社長(35)

プロフィール
1990年生まれ、広島県出身。大学卒業後、愛媛県内の不動産会社に就職。15年に高齢者が賃貸を借りにくい社会課題の解決を目指してR65を設立。65歳以上の部屋探しの支援を専門で行う。講演も多数実施。

 

エルズサポート 関内雅仁執行役員

エルズサポート
東京都中野区
関内雅仁執行役員(50)

プロフィール
1975年生まれ、東京都出身。業務用システム製造販売会社やEC物流会社での勤務を経て2017年にエルズサポートに入社。家賃債務保証業者登録、居住支援法人指定、商材の設計や改良などの各種プロジェクトを遂行。


(2025年2月24日15面に掲載)

おすすめ記事▶『住宅セーフティネット法、改正法施行まで1年』

検索

アクセスランキング

  1. 成約数増減、規模別で二極化【賃貸仲介件数ランキング2026分析】

    全国賃貸住宅新聞社

  2. 建築費高騰、中古再生に商機【2026年 業界予測座談会】

  3. ブライダルハート、LEDビジョンを低価格で

    ブライダルハート

  4. グッドライフカンパニー、持ち株会社体制に移行

    グッドライフカンパニー

  5. 北辰不動産、賃貸マンションの新ブランド

    北辰不動産

電子版のコンテンツ

全国賃貸住宅新聞からのお知らせ

お知らせ一覧

サービス

発行物&メディア

  • 賃貸不動産業界の専門紙&ニュースポータル

  • 不動産所有者の経営に役立つ月刊専門誌

  • 家主と賃貸不動産業界のためのセミナー&展示会

  • 賃貸経営に役立つ商材紹介とライブインタビュー

  • 賃貸管理会社が家主に配る、コミュニケーション月刊紙

  • 賃貸不動産市場を数字で読み解く、データ&解説集

  • RSS
  • twitter

ページトッップ