見守り、保証の重要性増す
高齢者をはじめとした住宅確保要配慮者の居住支援に向けて、今年10月にも住宅セーフティネット改正法が施行される。そんな中、高齢者の部屋探しを支援するR65(東京都港区)と、家賃債務保証事業を手がけるエルズサポート(東京都中野区)は提携し、受け入れリスクの抑制に取り組んでいく。R65の山本遼社長とエルズサポートの関内雅仁執行役員に、高齢者受け入れを取り巻く現状と課題を聞いた。
現入居者も高齢化
ーまずは両社それぞれの設立経緯と事業内容について教えてください。
山本:起業前は賃貸管理会社に勤めていたのですが、その会社は高齢者の受け入れにネガティブでした。地場大手と言える規模の会社でしたが、そのくらいの会社でさえ受け入れに消極的だったことから、高齢化は将来的に大変な社会問題になると思い起業したのが15年(会社設立は16年)です。65歳以上の入居希望者を対象にした賃貸仲介事業からスタートし、現在は65歳以上の人が住める物件情報の配信を中心に、孤独死保険や駆け付けサービスなどの付帯商品の販売も行っています。
関内:当社は、親会社となるホームネット(同)が高齢者向けのサービスを提供してきたことがきっかけで生まれた会社です。ホームネットが見守りや定期巡回、訪問介護など高齢化社会を見据えたサービスを展開する中、連帯保証人を立てられない高齢入居者が増え始めました。それを受けて、当社代表の藤田潔が「民間事業で補う仕組みをつくらないと高齢者が入居できなくなる」との危機感を持って保証事業をスタートし、後に当社を子会社化。保証事業も吸収分割したという経緯を持っています。
ー高齢入居者向けにどのような商品を用意していますか。
山本:ポータルサイト事業の掲載物件数は年平均で4000件程度で、約40社が利用しています。24年8月には電力データを活用した見守りサービスの提供を開始しました。スマートメーターが付いている物件であれば地域によらず簡単に導入できるもので、販売パートナーは25年1月末時点で50社を超えました。
関内:自動音声による安否確認コールを週2回行うサービスを、保証に付帯しています。また、ホームネットが提供する、電球の使用状況から入居者を見守る商品も提供しています。そのほか、中部電力ミライズコネクト(愛知県名古屋市)との提携や、今回のR65社との提携で、電力データを活用した見守りサービスも加え多様なニーズに対応できるように準備を進めています。
山本:当社では現在、見守りサービスの販売に注力しています。というのも、管理物件に住んでいる入居者が高齢化してきたことに対して、危機感を持っている管理会社が増えたためです。高齢者の受け入れは空室対策の文脈でも大切ですが、今住んでいる方の事故リスクをどう抑えるか。そこへの対応に注力しています。