ジェクト 市川 功一 社長 管理4400戸、地域との接点重視

【企業研究vol.283】ジェクト

インタビュー|2025年03月27日

ジェクト 神奈川県川崎市 市川 功一 社長(71)

 ジェクト(神奈川県川崎市)は、建築後に管理を受託する事業モデルで成長する。地域住民と接点を持てるような事業やイベントを実施し、地場企業として存在感を高めながらシェア拡大を目指す。

売上高62億円 7割リピート受注

―1920年に創業して以来、地場不動産会社として存在感を高めています。

 建築棟数や管理戸数など、事業規模は順調に拡大してきました。地域住民向けのイベント主催や飲食店運営などで、商圏内での知名度向上にも注力しています。事業は大きく建築事業と不動産事業の二つです。建築事業は地主に土地活用として賃貸住宅の建築を提案。不動産事業では建築後の管理を主体に、賃貸仲介、売買仲介なども手がけています。2024年度の売上高は62億円。管理戸数は4446戸になりました。商圏はJR南武線武蔵中原駅周辺で、本社も同駅から歩いてすぐの場所に構えています。

売上高と売上比率推移

―建築事業における完工高はどれほどでしょうか。

 新築、リフォーム合わせて24年度実績で48億円です。新築は木造アパートに加えて、戸建て賃貸を商品化しています。長い付き合いのオーナーが多く、約70%がリピーターです。

―どういった立地の物件を建築していますか。

 いずれも本社から半径5km圏内に建築するようにしています。建築後は基本的に管理も受託しますから、トラブルがあった際に、自転車でも15分程度で向かえるため早期の対処ができます。

―管理物件は自社建築物件ですか。

 最近は他社建築物件の管理も増えています。管理物件のうち7割が自社建築、3割が他社建築です。24年ごろから自社建築以外でも管理受託数を伸ばす取り組みに力を入れています。24年度の増加戸数のうち、他社建築物件が209戸、自社建築物件が54戸といった割合です。取り組みの一環として、クラスコ(石川県金沢市)のフランチャイズチェーン(FC)「満室の窓口」に加盟し、セミナーを本格始動。オーナーの新規開拓を始めました。オーナー向けセミナーを通して、新規顧客との接点を増やしています。新規開拓で受託した物件も本社から半径5km圏内の立地です。本社から近い物件は、全体の管理物件のうち97%を占めるようになりました。

―管理物件への入居者はどんな層が多いですか。

 武蔵中原駅周辺は、東京都内へ通勤する人たちのベッドタウンとしての需要が高く、当社の管理物件への入居者もそうした層が多いです。入居者の平均年齢は約32歳。賃貸需要が堅調なため、商圏内の人口数は増加傾向にあり、家賃も上がっています。管理物件の約半数で、新規募集時に家賃の値上げを行っていますが、入居者は決まります。

―リフォームに力を入れていると聞きました。

 改修は、24年度実績で20万円未満の簡易的な工事を587件、20万円以上の工事を297件手がけました。リノベが家賃上昇にもつながっています。不動産事業部内にデザイナーを雇用しており、自社で意匠性を高めた設計を行っています。

地域イベント主催 家族連れで参加

―地域住民向けイベントを行われているそうですが、どんな狙いがありますか。

 地域との結びつきを強めることを重視しています。「コンクリートまつり」という当社独自の祭りは13年から始めました。新型コロナウイルス下の期間を除いて例年4月下旬に行っています。24年の開催で10回目を迎えました。子ども向けに、当社が所有するミキサー車や高所作業車などの重機に乗ることができる体験コーナーや、セメントで手形作りが行えるアクティビティーを用意しています。会場は本社敷地内としており、管理物件が本社から近いことでオーナー入居者やその家族が来場します。

コンクリートまつりの様子工房カフェの内装

コンクリートまつりの様子(上)と、工房カフェの内装

―地域住民向けといえば、カフェも運営していますね。

 23年に軽食やドリンクを提供する「工房カフェ」を開業しました。本社から徒歩12分程度の場所にある「中原工房」の一角を改装しています。中原工房は15年に開いた会員制のDIY工房です。カフェは当社社員がシフト制で運営を行っており、社員と地域住民が接する機会を生み出しています。

―イベント開催やカフェ運営を行うことで、御社にどのようなメリットが生まれるのでしょうか。

 売り上げに貢献するようなメリットを期待して行っているものではありません。地域住民に喜ばれるイベントを開催したり、場所をつくったりすることで、商圏内での知名度を向上させられます。仕事につながることはまれですが、採用活動に好影響を及ぼす場合もあります。25年度の新卒社員の中には、当社のことを元々知っていて入社を志望した人がいます。

―新卒社員の採用も行っているのですね。

 25年はたまたま学生から応募があった形ですが、26年卒から新卒社員の採用に本腰を入れています。建築現場における技術職を育成する「匠(たくみ)コース」、建築提案などを行う総合職を育成する「繋(つなぐ)コース」として2種の募集を行います。

―採用基準は。

 いずれのコースもチーム制を重んじ、長期的な目線で仕事に取り組むといった当社の文化にマッチする人材を採用していきます。新卒社員には、当社の企業理念である「常にお客さまの立場でものを考え、お客さまが満足する住環境を創造し、いつまでも地域社会に必要とされる企業であり続ける」を理解してもらいたいです。あくまで業績は会社を継続するために必要な「後輪」であり、先に重んじるべきは「前輪」である理念だと考えています。経営におけるこの考えを継続しながら、今後は管理戸数の伸長に注力していきたいです。

 

会社概要

社名:ジェクト
住所:神奈川県川崎市
設立:1920年5月
資本金:1億円
従業員数:97人
事業内容:収益不動産の建築、管理、賃貸仲介、売買仲介など

(2025年3月24日20面に掲載)

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