保管率50%以下で一斉処分計画
ポラスグループで約2万5000戸の賃貸管理を手がける中央ビル管理(埼玉県越谷市)は、管理物件の鍵管理の廃止を進める。事故リスクへの対策と並行し、コスト削減の効果を見込む。
鍵管理を止めるのは、事故やトラブルの防止のほか、業務効率化の要素が大きい。
同社は月1回、各営業所の所長が在庫数を確認し、エリアマネジャーがダブルチェックする体制を取っていた。加えて、出入庫が発生するたびに所長のチェックも必要だった。「必要となる業務の工数や責任は重いものの、リスクは高く、どのように改善すべきかを検討してきた」と営業推進課・赤嶺達己課長は話す。
同社では、2023年1月から①入居中の鍵管理②空室の鍵管理の2パターンに分けて鍵の廃棄プロジェクトを開始。まず着手したのは、①のうち新規契約した居室だ。
新たに賃貸借契約を締結する入居者には、同社が鍵の保管をしていないことを説明。万が一の際は自費で対処する必要がある旨を伝達した。少額短期保険の契約に付帯している駆け付けサービスを利用してもらうことで、入居者の鍵の紛失に備える。
事件・事故などの安否確認の際は、専門事業者に鍵の解錠を依頼する。「事前の社内調査で、安否確認のための解錠は各営業所で年間1~2回発生していることがわかった。解錠費用は1回あたり1万~2万円。それに対し、年間の管理費用は100万円程度。人件費を含め、鍵管理のほうがコストは高い。それがわかったことで、管理廃止に大きくかじを切ることができた」(赤嶺課長)
空室にはスマートロックを導入。全社で約600台を購入している。ただし、スマートロックの動作エラーの可能性もあるため、募集中の物件に関しては1本を保管し、入居後に廃棄している。
新規の管理受託に関しては、オーナーに説明し、初めから鍵を預からない方針としている。
プロジェクトの開始に先立ち、オーナーには一斉に鍵管理を廃止する文書を送付したが、問い合わせはほぼなかった。
今後、26年9月に入居中の鍵を対象に、鍵の保管率についての大規模な社内調査を行う計画だという。
「同調査において、入居中の鍵の保管率が50%以下となったことが判明した場合、当社の全管理物件すべての鍵を一斉処分する予定」(赤嶺課長)
(2025年4月21日2面に掲載)