空き家や賃貸住宅の空室を活用し、高齢者をはじめとした住宅確保要配慮者(以下、要配慮者)への住宅提供を促進する住宅セーフティネット制度。2017年に開始した現行制度は、単身高齢者などがより賃貸住宅を借りやすくなるように内容が改正され、25年10月に施行される予定だ。現行法の成果や課題、改正法への期待点を整理してみたい。
地域の温度差大きく
山本 現行法が開始した2017年以降、行政をはじめ、不動産会社や周辺企業、NPO法人が「居住支援」という言葉でつながり始めました。全国の市区町村で居住支援協議会が立ち上がり始め、それまで連携が取りづらかった「福祉」と「不動産」が、同じ課題意識を持って支援に向き合えるようになったと感じています。
ただ、残る問題の一つとして、身寄りのない人にどのように対応していくかというものがあります。民間企業だけでの解決は難しく、改正法に則した運用で対策例を作っていくことになりそうです。
関内 保証会社にとっては、17年に始まった家賃債務保証事業者の登録制度が画期的な出来事の一つでした。保証サービスの利用に対する社会的安心感をつくってもらうことで、社会インフラを担う企業としての活躍がしやすくなったと言えます。
各地の市区町村で協議会の組成に関わることも増えましたが、そこで感じたのは、居住支援に対する地域の温度差が大きいということでした。加えて、国の考えが市区町村まで浸透し切っておらず、各自治体の見解にサービスも合わせないといけないため、設計や運用が複雑になっているという事実もあります。
山本 10月に施行される改正法では、賃貸借契約が相続されない終身建物賃貸借の手続きの簡素化や、残置物処分の円滑化が進んでいくことが期待されます。
万が一事故が起きても、次の人に貸しやすくなる仕組みで、家主の不安を低減するものになります。
関内 「住宅と福祉が連携して対処せよ」と明記されたことも、改正法における重要なポイントです。保証会社としては、地域包括支援センターやケアマネジャーと協力することで解決できることが多くあります。
一方、福祉側は不動産や保証会社に詳しくないので、互いに理解を深めることで、入居者の支援におけるバトンの受け渡しを円滑にしていけることでしょう。
山本 行政との連携が増えてきた中で、身寄りのない方からの入居相談が目立ってきています。そういった案件にどのように退所していくかについて、保証会社や不動産会社と目線を合わせて対策を話し合うことができるようになったことは非常に良いことです。居住支援法人の取得に動く不動産会社も出始めており、業界全体の意識が変わり始めていると感じます。
関内 改正法では、要配慮者が利用しやすい保証事業者の認定や、入居後の入居者の変化に対応しやすい居住サポート住宅の登録が進む予定です。
見守りサービスの設置や居住支援法人などによる定期訪問などが促進され、居住支援の体制がより充実していくというイメージが醸成されていくことと思います。
R65不動産
代表取締役 山本遼
65歳以上の部屋探し支援サービス「R65不動産」を運営。家電を使った見守りサービスも提供。
エルズサポート
執行役員 関内雅仁
家賃債務保証事業部門を統括。居住支援法人指定、商材設計や改良などの各種プロジェクトを遂行。
(2025年4月21日14面に掲載)






